ひとりぼっちのあいつ
「ひとりぼっちのあいつ」 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ビートルズ の シングル | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
初出アルバム『ラバー・ソウル』 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
B面 | 消えた恋 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
リリース | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
規格 | 7インチシングル | |||||||||||||||||||||||||||||||||
録音 |
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ジャンル | フォークロック[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
時間 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
レーベル | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
作詞・作曲 | レノン=マッカートニー | |||||||||||||||||||||||||||||||||
プロデュース | ジョージ・マーティン | |||||||||||||||||||||||||||||||||
ゴールドディスク | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
後述を参照 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
チャート最高順位 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
後述を参照 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「ひとりぼっちのあいつ 」(原題 : Nowhere Man)は、ビートルズの楽曲である。レノン=マッカートニー名義となっているが、ジョン・レノンによって書かれた。1965年に発売された6作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ラバー・ソウル』に収録された。アメリカで発売された『ラバー・ソウル』には収録されず、1966年にシングル盤として発売された後に、キャピトル編集盤『イエスタデイ・アンド・トゥデイ』に収録された。
1965年10月21日と22日にレコーディングが行われた本作は、ビートルズでは初の愛やロマンスを扱わない楽曲とされており、レノンによる哲学的な歌詞が特徴となっている[2]。1968年に公開された映画『イエロー・サブマリン』で劇中歌として使用され、1999年に発売された『イエロー・サブマリン 〜ソングトラック〜』にリミックスが施された音源が収録された。
背景・曲の構成
「ひとりぼっちのあいつ」は、レノンがアルバム『ラバー・ソウル』のために曲を書こうと5時間悩んだ末に、自分自身について書いた楽曲。1980年の『プレイボーイ』誌のインタビューで、レノンは「ある朝、僕は5時間ほど曲の構想を練ってた。意味のある良い歌を作ろうとして思ったんだ。だけどいつまで経ってもできなくて、ついに諦めて横になった。そしたら突然『Nowhere Man』という言葉とメロディが思いうかんできた」と語っている[3]。
ポール・マッカートニーは「ジョンの曲。この頃のジョンは自分がこれからどこに向かうのかを少し心配してたんじゃないかな」と語っている[4]。
曲全体としては、32小節形式となっており、Eメジャーで演奏される8小節の主部、音楽的な問いかけをする第3フレーズ(17〜42小節)、Eメジャーの主部を再現する第4フレーズが繰り返される。主部は「He's a real」でのEコードから始まり、「nowhere man」でのBコードと「sitting in」でのAコードとの間で下降する。最後のフレーズ「nowhere plans」では、Aコードの代わりにAマイナーが使用され、同時にG♯で演奏されるメロディで不協和音となるAmM7を作り出している[5]。
レコーディング
「ひとりぼっちのあいつ」のレコーディングは、ジョージ・マーティンのプロデュースのもと、1965年10月21日と22日にEMIレコーディング・スタジオで行なわれた[6]。リードギターはレノンとハリスンが[7][8]ソニックブルーのフェンダー・ストラトキャスターで演奏したもの[9]。レノンとハリスンはギターを数セットのフェーダーに通していたため、エンジニアは2本のギターソロを強調する為に、トレブルを幾度となく上げていた[10][6]。
本作のレコーディングについて、マッカートニーは「思いきりトレブルを効かせたギターの音にしたかったんだ。エンジニアが「わかった。トレブルをフルにしよう」と言ったのに対して、僕らは「それじゃ足りない」と返したら、彼は「でもこれが限界なんだ」と。「だったらそれを別のフェーダーに繋いでトレブルを上げてみてくれないか。それでも足りないんだったら、それをまたさらに別のフェーダーに繋げればいい」と提案したら、彼らが「そんなことはしない」と言うもんだから、「とにかく試してみてくれ。もし変な音になったら僕らは負けを認めるよ。でもきっといい音になると思うよ」と言ったんだ。やってみたら「おお、うまくいったぞ!」ってね。これまでの3倍のトレブルが出せたから、エンジニアは喜んだと思うよ」と振り返っている[11][6]。
リリース・評価
1965年12月3日にパーロフォンからアルバム『ラバー・ソウル』が発売され、「ひとりぼっちのあいつ」は「ユー・ウォント・シー・ミー」と「嘘つき女」の間にあたるA面4曲目に配置された[12]。後に本作をカバーしたスマッシング・パンプキンズのビリー・コーガンは、「画期的で実存的な歌詞を持つ美しいポップソング」と評している[13]。
アメリカでキャピトル・レコードから発売された『Rubber Soul』には収録されず、この関係から1966年初頭のアメリカではエアプレイが規制されていた[14]。同年2月21日にキャピトル・レコードからシングル盤として発売され、B面には「消えた恋」が収録された[6]。Billboard Hot 100では最高位3位を記録し[15]、オーストラリアのチャートでは第1位[16]を獲得した。アメリカでは50万枚以上の売上を記録したことから、アメリカレコード協会からゴールド認定を受けている[17][6]。1966年6月20日にキャピトル・レコードから編集盤『イエスタデイ・アンド・トゥデイ』が発売され、「消えた恋」と共に収録された[18]。
本作は、1965年のイギリスツアーから1966年のアメリカツアーまでセットリストに加えられており、ライブ映像が映像作品『ザ・ビートルズ・アンソロジー』に収録されている[14]。なお、1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー2』には、1966年の日本武道館公演でのライブ音源が収録される予定となっていたが、最終的に未収録となった[19]。
1968年に公開されたアニメ映画『イエロー・サブマリン』では、ビートルズがひとりぼっちのジェレミーに向けて本作を歌っている[20]。1999年に発売された『イエロー・サブマリン 〜ソングトラック〜』にリミックスされた音源が収録されており、オリジナルで右寄りになっていたボーカルが、こちらでは中央に定位している[21]。
『ローリング・ストーン』誌が発表した「100 Greatest Beatles Songs」では第66位にランクインした[13]。
クレジット
※出典[22]
- ジョン・レノン - ダブルトラックのボーカル、アコースティック・ギター(リズムギター)、リードギター
- ポール・マッカートニー - ベース、ハーモニー・ボーカル
- ジョージ・ハリスン - リードギター、ハーモニー・ボーカル
- リンゴ・スター - ドラム
チャート成績
チャート (1965年 - 1966年) | 最高位 |
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オーストラリア (Kent Music Report)[16] | 1 |
オーストリア (Ö3 Austria Top 40)[23] | 8 |
カナダ トップシングルス (RPM)[24] | 1 |
US Billboard Hot 100[15] | 3 |
US Cash Box Top 100[25] | 2 |
US Record World 100 Top Pops[26] | 1 |
西ドイツ (Musikmarkt Hit-Parade)[27][28] | 3 |
認定
国/地域 | 認定 | 認定/売上数 |
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アメリカ合衆国 (RIAA)[17] | Gold | 1,000,000^ |
* 認定のみに基づく売上数 |
カバー・バージョン
タイニー・ティムは本作をウクレレでカバーしており、このカバー・バージョンは1968年にビートルズのファンクラブの会員のみに配布されたクリスマス・レコードに収録されている[29]。ビートルズの歴史家であるジョン・ウィンは、ティムによるカバー・バージョンを「このレコードのハイライト」として挙げている[30]。
本作は他にも、ガーション・キングスレイによるシンセポップ調、ドッケンによるグラム・メタル調、ヤニーによるイージーリスニング調など、さまざまなカバー・バージョンが存在する[31]。ジョン・クルトは『ラバー・ソウル』のレガシーに関する著書の中で、1968年にレコーディングされ、カレン・カーペンター(1983年没)の死後の2001年に発売されたカーペンターズによるカバー・バージョンについて、「ストリングス・アレンジをオーバー・ダビングしたばかげたカバー」と評している[31]。
日本では、笹島明夫が2015年に発売されたアルバム『Images of Lennon McCartney』で本作をカバーしている。
脚注
出典
- ^ Pollack, Alan W.. “Notes on "Nowhere Man"”. soundscapes.info. 2020年4月24日閲覧。
- ^ Unterberger, Richie. Rubber Soul - Beatles|Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年4月24日閲覧。
- ^ Sheff 1981, p. 163.
- ^ “Interview: Paul and Linda McCartney”. Playboy Magazine (Playboy Enterprises, Inc.) 31. (December 1984).
- ^ Pedler, Dominic (2003). The Songwriting Secrets of the Beatles. Omnibus Press. p. 193. ISBN 0-7119-8167-1
- ^ a b c d e Womack 2016, p. 365.
- ^ Everett 2001, p. 322.
- ^ Winn 2008, p. 367.
- ^ Babiuk 2002, p. 157.
- ^ Everett 2006, p. 80.
- ^ Lewisohn 1990, p. 13.
- ^ Lewisohn 1990, p. 200.
- ^ a b “66. 'Nowhere Man'”. 100 Greatest Beatles Songs. Rolling Stone (2020年4月10日). 2021年5月25日閲覧。
- ^ a b Lewis & Spignesi 2009, p. 102.
- ^ a b “The Hot 100 Chart”. Billboard (1966年3月26日). 2020年9月14日閲覧。
- ^ a b Kent, David (2005). Australian Chart Book (1940-1969). Turramurra: Australian Chart Book. ISBN 0-646-44439-5
- ^ a b "American single certifications – The Beatles – Nowhere Man". Recording Industry Association of America. 2020年9月14日閲覧。
- ^ Womack 2016, p. 563.
- ^ Badman 2001, p. 542.
- ^ Halpin 2017, p. 98.
- ^ 斉藤早苗・葉山真『イエロー・サブマリン 〜ソングトラック〜』(ブックレット)ビートルズ、アップル・レコード、2012年。
- ^ MacDonald 2005, p. 172.
- ^ "Austriancharts.at – The Beatles – Nowhere Man" (in German). Ö3 Austria Top 40. 2020年9月14日閲覧。
- ^ "Top RPM Singles: Issue 5709." RPM. Library and Archives Canada. 2016年5月16日閲覧。
- ^ Hoffmann, Frank (1983). The Cash Box Singles Charts, 1950-1981. Metuchen, NJ & London: The Scarecrow Press, Inc. pp. 32–34
- ^ “Record World 100 Top Pops - Week of April 2, 1966”. Record World: 17. (2 April 1966).
- ^ “Offizielle Deutsche Charts - The Beatles - Nowhere Man” (German). GfK Entertainment Charts. 2020年9月14日閲覧。
- ^ “The Beatles Single-Chartverfolgung (in German)”. musicline.de. 2013年12月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月14日閲覧。
- ^ Spizer 2003, pp. 218–219.
- ^ Winn 2009, p. 229.
- ^ a b Kruth 2015, p. 135.
参考文献
- Babiuk, Andy (2002). Beatles Gear: All the Fab Four's Instruments, from Stage to Studio. San Francisco, CA: Backbeat Books. ISBN 978-0-87930-731-8
- Badman, Keith (2001). The Beatles Diary Volume 2: After the Break-Up 1970–2001. London: Omnibus Press. ISBN 978-0-7119-8307-6
- Everett, Walter (2001). The Beatles as Musicians: The Quarry Men through Rubber Soul. New York, NY: Oxford University Press. ISBN 0-19-514105-9
- Everett, Walter (2006). “Painting Their Room in a Colorful Way: The Beatles' Exploration of Timbre”. In Womack, Kenneth; Davis, Todd F.. Reading the Beatles: Cultural Studies, Literary Criticism, and the Fab Four. Albany: State University of New York Press. pp. 71-94. ISBN 0-7914-6716-3
- Halpin, Brooke (2017). Experience the Beatles: A Listener's Companion. Rowman & Littlefield Publishers. ISBN 1-4422-7144-2
- Kruth, John (2015). This Bird Has Flown: The Enduring Beauty of Rubber Soul, Fifty Years On. Milwaukee, WI: Backbeat Books. ISBN 978-1-61713-573-6
- Lewis, Michael; Spignesi, Stephen J. (2009). 100 Best Beatles Songs: A Passionate Fan's Guide. Running Press. ISBN 1-6037-6265-5
- Lewisohn, Mark (1990) [1988]. The Beatles: Recording Sessions. Harmony Books. ISBN 0-5175-8182-5
- MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (Second Revised ed.). London: Pimlico (Rand). ISBN 1-84413-828-3
- Sheff, David (1981). The Playboy Interviews with John Lennon and Yoko Ono. Playboy Press. ISBN 0-8722-3705-2
- Winn, John C. (2008). Way Beyond Compare: The Beatles' Recorded Legacy, Volume One, 1962-1965. New York, NY: Three Rivers Press. ISBN 978-0-3074-5157-6
- Winn, John C. (2009). That Magic Feeling: The Beatles' Recorded Legacy, Volume One, 1966-1970. New York, NY: Three Rivers Press. ISBN 978-0-3074-5239-9
- Womack, Kenneth (2016). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four. ABC-CLIO. ISBN 1-4408-4427-5
外部リンク
- Nowhere Man - The Beatles