ガラテア (衛星)

ガラテア
Galatea
ボイジャー2号が撮影したガラテア。
ボイジャー2号が撮影したガラテア。
仮符号・別名 S/1989 N 4
Neptune VI
見かけの等級 (mv) 21.9[1]
分類 海王星の衛星
発見
発見年 1989年7月[2][3]
発見者 S・P・シノット
ボイジャー2号撮像チーム
軌道要素と性質
元期:1989年8月18日
軌道長半径 (a) 61,953 ± 1 km[4][5]
離心率 (e) 0.00004 ± 0.00009[4]
公転周期 (P) 0.42874431 日[4]
軌道傾斜角 (i) 0.052° ± 0.011° (海王星の赤道面に対して)
0.06° (局所ラプラス面に対して)[4]
海王星の衛星
物理的性質
三軸径 204 × 184 × 144 km km[6]
平均半径 88 ± 4 km[1]
質量 (2.12 ± 0.08)×1018 kg[7]
平均密度 0.75 g/cm3[1]
自転周期 同期回転
アルベド(反射能) 0.08[6][1]
赤道傾斜角 0
表面温度 51 K (推定)
大気の性質
なし
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ガラテア[8][9](Neptune VI Galatea)は、海王星の第6衛星である。

発見と命名

ガラテアは、惑星探査機ボイジャー2号が海王星をフライバイした際に撮影された画像の中から、1989年7月に発見された。発見はデスピナラリッサの発見と合わせて同年8月2日の国際天文学連合のサーキュラーで公表され、「5日間に渡って10枚の画像を捉えた」とだけ報告されており[10]、7月28日以前のいずれかの段階で発見されたとみられる。これに伴い、S/1989 N 4 という仮符号が与えられた。

その後1991年9月16日に、ギリシア神話ネレイデスの1人、ガラテアに因んで命名され、Neptune VI という確定番号が与えられた[11]

特徴

ガラテアは海王星の衛星の中で4番目に海王星に近い軌道を公転する衛星である。ガラテアは不規則な形状をしており、地質学的に変化を起こした兆候は見られない。他の衛星と同じく、トリトンが海王星によって非常に軌道離心率が大きい軌道に捕獲された直後の摂動によって破壊されたかつての海王星固有の衛星の破片が、再び降着して形成されたラブルパイル天体だと考えられている[12]

ガラテアの軌道は海王星の静止軌道の下にある。そのためガラテアは潮汐力によってらせん状に軌道が減衰しており、いずれ海王星の大気に突入するか、ロッシュ限界を超えて潮汐力で粉砕され、海王星のになると予想される。

環との関係

アダムズ環の内側にあるガラテア (1989N4)

ガラテアの軌道の 1,000 km 外側には海王星の環の一つであるアダムズ環があり、ガラテアはこの環の羊飼い衛星であると考えられる。アダムズ環の中にはアークと呼ばれる独特の構造があるが、ガラテアと環の 42:43 の共鳴がこの構造を形作っていると考えられている[13]。また、ガラテアによって環に誘起される半径方向の摂動を元に、ガラテアの質量が推定されている[7]

出典

  1. ^ a b c d Jet Propulsion Laboratory (2015年2月19日). “Planetary Satellite Physical Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進研究所. 2018年12月25日閲覧。
  2. ^ In Depth | Galatea – Solar System Exploration: NASA Science”. アメリカ航空宇宙局 (2017年12月5日). 2019年1月22日閲覧。
  3. ^ Planet and Satellite Names and Discoverers”. Planetary Names. 国際天文学連合. 2015年1月11日閲覧。
  4. ^ a b c d Jacobson, R. A.; Owen, W. M., Jr. (2004). “The orbits of the inner Neptunian satellites from Voyager, Earthbased, and Hubble Space Telescope observations”. Astronomical Journal 128 (3): 1412–1417. Bibcode2004AJ....128.1412J. doi:10.1086/423037. 
  5. ^ Jet Propulsion Laboratory (2013年8月23日). “Planetary Satellite Mean Orbital Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進研究所. 2018年12月25日閲覧。
  6. ^ a b Karkoschka, Erich (2003). “Sizes, shapes, and albedos of the inner satellites of Neptune”. Icarus 162 (2): 400–407. Bibcode2003Icar..162..400K. doi:10.1016/S0019-1035(03)00002-2. 
  7. ^ a b Porco, C.C. (1991). “An Explanation for Neptune's Ring Arcs”. Science 253 (5023): 995–1001. Bibcode1991Sci...253..995P. doi:10.1126/science.253.5023.995. PMID 17775342. 
  8. ^ 『オックスフォード天文学辞典』(初版第1刷)朝倉書店、92頁。ISBN 4-254-15017-2 
  9. ^ 太陽系内の衛星表”. 国立科学博物館. 2019年3月9日閲覧。
  10. ^ Brian G. Marsden (1989年8月2日). “IAUC 4867: NEPTUNE; JUPITER”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2019年1月22日閲覧。
  11. ^ Brian G. Marsden (1991年9月16日). “IAUC 5347: SNe; 1991o; Sats OF SATURN AND NEPTUNE”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2019年1月22日閲覧。
  12. ^ Banfield, Don; Murray, Norm (1992-10). “A dynamical history of the inner Neptunian satellites”. Icarus 99 (2): 390–401. Bibcode1992Icar...99..390B. doi:10.1016/0019-1035(92)90155-Z. 
  13. ^ Namouni, F.; C. Porco (2002). “The confinement of Neptune's ring arcs by the moon Galatea”. Nature 417 (6884): 45–7. Bibcode2002Natur.417...45N. doi:10.1038/417045a. PMID 11986660. http://www.nature.com/cgi-taf/DynaPage.taf?file=/nature/journal/v417/n6884/abs/417045a_fs.html. 

関連項目

外部リンク