コルクガシ
コルクガシ | ||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Quercus suber | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
コルクガシ | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
cork oak |
コルクガシ(学名:Quercus suber)は、ブナ科コナラ属の常緑高木である。
その樹皮はコルクとして様々な用途に使用される。
特色
原産地はスペインを中心とする地中海沿岸地域である[1]。スペイン、ポルトガル、アルジェリア、モロッコ、フランス、イタリア、チュニジアでコルクガシが栽培されており、その栽培面積は25,000km2にも及ぶ。世界全体のコルク生産量の約50%はポルトガルが占めている。
樹高は18mに、直径は1.5mに達し、幹の外側に厚いコルク層を形成する[1]。樹齢20年に達したコルクガシのコルク層を剥ぎ取っても生育は阻害されず、再び厚いコルク層が再生される[1]。樹齢約25年になったコルクガシから初めてコルク層が剥ぎ取られる。この時初めて剥ぎ取られたコルク層を“バージンコルク”と呼ぶ。2度目の収穫はその9年から12年後であり、その後150年から250年ほどに渡って[2]コルク層を収穫することができる。[1]1本のコルクガシからは、その生涯に約12回の収穫が行われる。
コルク層の剥ぎ取りには、斧やこの用途専用に作られた梃子などが使われるが、樹皮とその下の維管束形成層などの生きた組織を傷めずに剥ぎ取るには技術が必要で、人が手作業で慎重に行うことが求められる。そのため、コルク層の収穫に機械を使用することはできない。
日本では、明治時代末に高知県、岡山県、静岡県で植栽が行われたが定着しなかった[3]。
利用
コルクガシの樹皮(コルク層)の用途としてまず挙げられるのは飲料瓶の栓、それもワインボトルの栓である。この用途に用いられるコルクはコルクの全体消費量の約15%にすぎないが、収入金額においては66%を占めている。その他には断熱材、床材、防音材、手工芸品などに使用され[4]、バドミントンのシャトルコック、釣り竿のグリップなどにも使用される[5]。
コルクガシから収穫されるコルク層の他に、コルクガシの畑(森)には家畜が放牧され[5]、そのドングリはイベリコ豚の餌となる。イベリコ豚が放牧されるカシの森林をデエサと呼び、デエサにはコルクガシの森とセイヨウヒイラギガシの森の2種類があるが、セイヨウヒイラギガシのデエサで育ったイベリコ豚のほうが上質だとされる。この他、コルク生産目的だけではなく、防砂林としても植えられている。
なお、コルクガシのほかには、日本に自生するアベマキからもコルク層を収穫することができるが、コルクガシに比べて質は劣る[1]。
ギャラリー
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コルクガシの植物画
(葉、果実、花を示す) -
コルクガシのドングリ
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ポルトガルのコルクガシ
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樹幹の輪切り断面(樹皮のコルク層の厚さを示す)
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樹皮のコルク層の剥ぎ取り
脚注・出典
- ^ a b c d e コルクガシ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
- ^ Abigail Hole, Michael Grosberg and Daniel Robinson, 2007
- ^ 小野陽太郎「コルクガシ」『新版 林業百科事典』第2版第5刷 p256 日本林業技術協会 1984年(昭和59年)発行
- ^ “コルクについて知ろう”. RESTA. 2020年5月16日閲覧。
- ^ a b Gil, L. & Varela, M. (2008), Cork oak - Quercus suber: Technical guidelines for genetic conservation and use, European Forest Genetic Resources Programme, pp. 6