シェイヴド・フィッシュ〜ジョン・レノンの軌跡
『シェイヴド・フィッシュ〜ジョン・レノンの軌跡』 | ||||
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ジョン・レノン の コンピレーション・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | 1969年 – 1974年 | |||
ジャンル | ロック | |||
時間 | ||||
レーベル |
アップル・レコード EMI EMIミュージック・ジャパン | |||
プロデュース |
ジョン・レノン オノ・ヨーコ フィル・スペクター | |||
チャート最高順位 | ||||
ジョン・レノン アルバム 年表 | ||||
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『シェイヴド・フィッシュ〜ジョン・レノンの軌跡』(英語: Shaved Fish / Lennon Plastic Ono Band)は、1975年に「ジョン・レノン/プラスティック・オノ・バンド」名義でリリースされたジョン・レノンの自身初、そして生前に発表された唯一のコンピレーション・アルバムである。
解説
1975年2月にカバー・アルバム『ロックン・ロール』をリリースすると、レノンは1967年から9年間にわたるEMI/キャピタルとのレコーディング契約が満了する前に新曲のアルバム制作を計画していた[注釈 1]。しかし、前年末に和解したオノ・ヨーコが妊娠したため[注釈 2]、過去の作品を集めたコンピレーション・アルバムをリリースすることにした[2]。
同時期にレコード会社主導でリリースされた他のビートルズのメンバーのコンピレーション・アルバム[注釈 3]とは異なり、収録曲、曲順、アルバム名、ジャケットやインナー・スリーブのデザインなどの監修をレノン自身が行った。そのため、「平和を我等に」で始まり「平和を我等に」で終わる、コンセプト・アルバム風の構成となっている。
ロイ・コハラ[注釈 4]のデザインによるアルバム・ジャケットの表面には、マイケル・ブライアン[注釈 5]による収録曲のイメージ画11種[5]と日の丸をあしらったアルバム・タイトル、裏面にはタイトルのもととなった「削り節(鰹節)」[注釈 6]が描かれている[6]。
また、裏面の右下にウィンストン・オーブギー博士(Dr. Winston O’Boogie)[注釈 7]による「沈黙の陰謀は言葉よりも雄弁である」(Conspiracy of silence speaks louder than words.)というメッセージが記されている[注釈 8]。
インナー・スリーブの表面は「日の丸」、裏面は赤地に収録曲の歌詞が印刷されている。なお、掲載されている歌詞には実際とは明らかに異なっている部分がある[注釈 9]。
このアルバムをリリースした後、レノンは「主夫」宣言を行い、息子ショーンの育児に専念するため音楽活動を停止した[注釈 10]。そのため、1976年2月満了のEMI/キャピトルとのレコーディング契約の更新には興味を示すことはなく[7]、1980年にアルバム『ダブル・ファンタジー』を発表するまでは他のレコード会社との契約を結ぶこともなかった。
収録曲
アメリカでリリースされたレノン(プラスティック・オノ・バンド)のシングル13作からカヴァー曲[注釈 11]を除くA面11曲が収録されている。ただし、以下の曲はこのアルバムのために編集が行われている。
- 「平和を我等に」:フェードインで始まる最初の約1分間の抜粋で、フェードアウトで終わる。
- 「マザー」:イントロの鐘の音が入るLP収録ヴァージョンだが、フェードアウトが約30秒短く編集されている。
- 「女は世界の奴隷か!」:シングル・ヴァージョンの一部をカットして、約40秒短く編集されている。
- 「真夜中を突っ走れ」:シングル・ヴァージョンのフェードアウトが約20秒短く編集されている。
- 「ハッピー・クリスマス(戦争は終った)」:1972年、マディソン・スクエア・ガーデンで行われた「One to One」コンサートで録音された「平和を我等に」のライブ・パフォーマンスからの抜粋[注釈 12]が「平和を我等に(リプライズ)」として曲のエンディングにクロスフェードされている[8]。
なお「インスタント・カーマ」はUKシングル・ミックスである[9]。また、「パワー・トゥ・ザ・ピープル」はマスター・テープが行方不明になっていたため、7インチシングルから「盤起こし」を行っている[注釈 13]。
アメリカ盤では「平和を我等に」と「コールド・ターキー」がメドレーの扱いになっている[12]。
アナログLP
# | タイトル | 作詞・作曲 | リード・ボーカル | 時間 |
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1. | 「平和を我等に」(Give Peace a Chance) | レノン=マッカートニー [注釈 14] | ジョン・レノン | |
2. | 「コールド・ターキー」(Cold Turkey) | ジョン・レノン | ジョン・レノン | |
3. | 「インスタント・カーマ」(Instant Karma!) | ジョン・レノン | ジョン・レノン | |
4. | 「パワー・トゥ・ザ・ピープル」(Power to the People) | ジョン・レノン | ジョン・レノン | |
5. | 「マザー」(Mother) | ジョン・レノン | ジョン・レノン | |
6. | 「女は世界の奴隷か!」(Woman is the Nigger of the World) |
| ジョン・レノン | |
合計時間: |
# | タイトル | 作詞・作曲 | リード・ボーカル | 時間 |
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1. | 「イマジン」(Imagine) | ジョン・レノン | ジョン・レノン | |
2. | 「真夜中を突っ走れ」(Whatever Get You Thru the Night) | ジョン・レノン |
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3. | 「マインド・ゲームス」(Mind Games) | ジョン・レノン | ジョン・レノン | |
4. | 「夢の夢」(#9 Dream) | ジョン・レノン | ジョン・レノン | |
5. | 「ハッピー・クリスマス(戦争は終った)/ 平和を我等に(リプライズ)」(Happy Xmas (War is Over) / Give Peace a Chance (Reprise)) |
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合計時間: |
CD
1987年12月にイギリスで発売されたCD[2]では、一部の曲でフェードアウトが短縮されていないものと差し替えられた[15]。
# | タイトル | 作詞・作曲 | リード・ボーカル | 時間 |
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1. | 「平和を我等に」(Give Peace a Chance) | レノン=マッカートニー | ジョン・レノン | |
2. | 「コールド・ターキー」(Cold Turkey) | ジョン・レノン | ジョン・レノン | |
3. | 「インスタント・カーマ」(Instant Karma!) | ジョン・レノン | ジョン・レノン | |
4. | 「パワー・トゥ・ザ・ピープル」(Power to the People) | ジョン・レノン | ジョン・レノン | |
5. | 「マザー」(Mother) | ジョン・レノン | ジョン・レノン | |
6. | 「女は世界の奴隷か!」(Woman is the Nigger of the World) |
| ジョン・レノン | |
7. | 「イマジン」(Imagine) | ジョン・レノン | ジョン・レノン | |
8. | 「真夜中を突っ走れ」(Whatever Get You Thru the Night) | ジョン・レノン |
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9. | 「マインド・ゲームス」(Mind Games) | ジョン・レノン | ジョン・レノン | |
10. | 「夢の夢」(#9 Dream) | ジョン・レノン | ジョン・レノン | |
11. | 「ハッピー・クリスマス(戦争は終った)/ 平和を我等に(リプライズ)」(Happy Xmas (War is Over) / Give Peace a Chance (Reprise)) |
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合計時間: |
脚注
注釈
- ^ このアルバムは『ビトウィーン・ザ・ラインズ』(Between the Lines)というタイトルで、1975年後半にリリースする計画だった。レノン本人も『オールド・グレイ・ホイッスル・テスト』出演時にニューアルバムとテレビスペシャルを計画していることを語っていた[1]。
- ^ シングル「真夜中を突っ走れ」が全米1位になったらコンサートで共演する約束をしていたレノンが、1974年11月28日にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで行われたエルトン・ジョンのコンサートに出演した後、来場していたオノと和解したと言われている。なお、共演の模様はシングル「メイド・イン・イングランド」に収録されている。
- ^ 1975年11月にリリースされたリンゴ・スターの「想い出を映して」、1976年11月にリリースされたジョージ・ハリスンの「ザ・ベスト・オブ・ジョージ・ハリスン」。
- ^ アメリカの写真家、デザイナー。1963年、キャピトル・レコードのクリエイティブ・サービス部門に入社。1972年にアシスタント・アート・ディレクター、1974年にアート・ディレクターに昇進。1980年リリースのボブ・シーガー&ザ・シルヴァー・ブレット・バンドの『奔馬の如く』で1981年グラミー賞最優秀アルバム・パッケージ・グラミー賞を受賞。ビートルズの『ロックン・ロール・ミュージック』『リール・ミュージック』、レノンの『メンローヴ・アヴェニュー』のアート・ディレクションを担当した[3]。
- ^ ビジュアルアーティスト、イラストレーター。B.B.キングの『ミッドナイト・ビリーヴァー』、マーヴィン・ゲイの『ヒアー、マイ・ディア〜離婚伝説』のイラストレーションを担当した。その後、『ロボコップ』『プラトーン』『トータル・リコール』などの映画ポスターアート制作を行っている[4]。
- ^ 「Shaved Fish」は「削り節」の直訳を用いたレノンの造語である。実際の英語では「Dried bonito flakes」または日本語をそのまま用いた「Katsuobushi」と表される。
- ^ レノンの変名の一つでアルバム『ロックン・ロール』に収録された「ジャスト・ビコーズ」終盤の語りの中に登場している。またエルトン・ジョンのシングル「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンド」にクレジットとして使われている。
- ^ 「行動は言葉よりも雄弁である」(Actions speak louder than words.)ということわざになぞらえている。リリース後すぐにレノンは隠遁したために「沈黙の陰謀」が意味するものが何かは語られることはなかった。
- ^ 「ハッピー・クリスマス」冒頭の「Happy Christmas, Kyoko」「Happy Christmas, Julian」が「Happy Christmas, Yoko」「Happy Christmas, John」、コーラス部分の「War is over」が「Hare Rama」と記載されている。このアルバムはレノンが自ら監修しており、彼の生前はもちろん、死後の再リリースにおいても訂正が全く行われていない事実から、単なる誤りではなく、何らかの意図があったと推察されるが、未だに明らかにされていない。
- ^ 10月7日に国外退去命令破棄の判決が下され、9日にショーンが誕生していた。
- ^ 「 スタンド・バイ・ミー」と「ビー・バップ・ア・ルーラ」の2曲。
- ^ スティーヴィー・ワンダーがリード・ボーカル。
- ^ 1980年のインタビューでレノンはレコード会社の保管の杜撰さを嘆いている[10][11]。
- ^ マッカートニーはこの曲には一切関わっていない。この当時はレノン=マッカートニーとクレジットされていたが[13]、レノンの死後1997年にリリースされたコンピレーション・アルバム『レノン・レジェンド〜ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ジョン・レノン』以降はレノンのみのクレジットとして表示されている[14]。
出典
- ^ Blaney 2005, p. 143.
- ^ a b Blaney 2005, p. 173.
- ^ “Roy Kohara”. Discogs. 2022年3月31日閲覧。
- ^ “Mike Bryan”. Aaarep net. 2022年3月31日閲覧。
- ^ Hardwig, Florian (2020年10月9日). “Lennon / Plastic Ono Band – Shaved Fish album art”. Fonts in Use. 2020年11月6日閲覧。
- ^ “Shaved Fish”. AllMusic. 2021年11月20日閲覧。
- ^ Ingham 2003, p. 110,111.
- ^ Madinger & Easter 2000, p. 80.
- ^ Wiener 1994, p. 90.
- ^ Peebles 1983.
- ^ “Shaved Fish”. JohnLennon.com. 2022年3月31日閲覧。
- ^ “Shaved Fish”. Discogs. 2022年3月31日閲覧。
- ^ Shaved Fish. Apple Records SW 3421, 1975, back cover credits
- ^ Lennon Legend (The Very Best Of John Lennon). Parlophone – 7243 8 21954 2 9, 1997, liner notes
- ^ “Better late than never for remastered CDs” (英語). The Gazette from Montreal. p. 54 (1 June 1989). 2022年5月7日閲覧。
参考文献
- Peebles, Andy (1983). The Last Lennon Tapes: John Lennon and Yoko Ono Talk to Andy Peebles December 6, 1980. New York. Dell Publishing. ISBN 0-440-04903-2
- Wiener, Allen (1994). The Beatles: The Ultimate Recording Guide (Third Revised Edition). Bob Adams, Inc.. ISBN 1-55850-414-1
- Madinger, Chip; Easter, Mark (2000). Eight Arms To Hold You: The Solo Beatles Compendium. 44.1 Productions. ISBN 0-615-11724-4
- Blaney, John (2005). John Lennon: Listen to This Book. John Blaney. ISBN 978-0-9544528-1-0