ハタネズミ
ハタネズミ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ハタネズミの剥製(栃木県立博物館蔵) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Microtus montebelli Milne-Edwards, 1872 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
ハタネズミ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Japanese grass vole |
ハタネズミ(畑鼠、英: Japanese grass vole)は、茶褐色で尾の短い日本固有種のハタネズミである。哺乳綱ネズミ目キヌゲネズミ科に分類される。ニホンハタネズミとも呼ぶ。成獣は頭胴長95 - 136mm、尾長29 - 50mm、体重22 - 62gほどである。南部に生息する個体のほうが体が大きめである。背面の毛色は茶色または灰黄赤色で、腹面は灰白色となる。
概要
本州、九州、佐渡島、能登島に分布する。造林地や高山のハイマツ帯、河川敷や田畑などの地表から地中約50cmの間に、網目状の巣穴を掘り生活している。イネ科、キク科を中心とする草を食べる。秋になると巣穴に食料を貯える。冬は雪の下に巣穴を掘ることもある。時々大発生し、イネ、サツマイモやニンジンなどの根菜、造林地などの樹木、果樹に大きな被害を及ぼすことがある。捕食者はイタチ、トビ、モズ、ヘビなどである。
夜行性。日没と日の出前の2、3時間に活動することが多い。生まれたての子は無毛で目が閉じている。生後6日ほどで切歯が生え、生後10日ほどで目が開き、巣の周りを動き回るようになる。寿命は約1年で、オスよりメスのほうが長生きである。
被害
熊本県阿蘇山の内輪山では、ハタネズミが大繁殖して700haのカヤの根を食べて枯らしてしまい、表土が緊縛力を失い山崩れ寸前の事態を引き起こしたことがある。また、1960年代の山形県では、ハタネズミが堤防に穴をあけたことが契機となり小さな川が決壊したことがある[2]。
また、ハタネズミはかつて富士山麓から伊豆半島のササ原や植林地などに生息し、10年周期で大繁殖を繰り返していた。1969年の静岡県の推計では60万匹が存在するとされ、植林地の苗木の被害は年間4億円に達した。対策としてヘリコプターで殺鼠剤が散布されたが、それほど大きな効果はなかった[3]。
亜種
脚注
- ^ Baillie, J. (1996). "Microtus montebelli". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2006. International Union for Conservation of Nature. 2007年8月11日閲覧。 Database entry includes justification for why this species is of least concern
- ^ 猛威 黄色い悪草 終戦時に進駐し大繁殖 花粉で鼻炎の心配も『朝日新聞』昭和44年(1969年)11月9日朝刊、12版、15面
- ^ 山のギャング60万匹 若木の被害4億円『朝日新聞』1970年(昭和45年)2月2日夕刊 3版 11面