メギ

メギ
実を付けたメギ(鈴鹿山脈のイブネにて、2011年10月2日撮影)
実を付けたメギ Berberis thunbergii
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: キンポウゲ目 Ranunculales
: メギ科 Berberidaceae
: メギ属 Berberis
: メギ B. thunbergii
学名
Berberis thunbergii DC.[1]
和名
メギ
英名
Japanese barberry
Thunberg's barberry
red barberry

メギ(目木[2]学名Berberis thunbergii DC.[1])は、メギ科メギ属分類される落葉低木の1[3]。別名では、コトリトマラズ[3][4]、ヨロイドオシ[5]ともよばれる。

名称

和名メギの由来は、を煎じて洗眼に利用されていたので「目木」の名がある[3][4][5]。枝に鋭い棘を多く生やし、鳥がとまれそうにないことから、コトリトマラズの別名でも呼ばれる[2][6]

特徴

落葉広葉樹の低木で[2]、樹高2メートル (m) ほどまで成長し、よく分かれする[3]。樹形は株立ち[4]樹皮は灰褐色から褐色で、縦にやや不規則な割れ目がある[6]。枝は赤褐色から褐色で、顕著な縦の溝と稜が目立つ[4][6]。枝の節や葉の付け根には長さ5 - 12ミリメートル (mm) のがあり[3]徒長枝の葉の付け根には3本に分かれた棘がある[7]。樹皮は黄色の染料になる[2]

葉は単葉[4]、新しく伸びた長枝には互生し、2年枝の途中から出た短枝には束生する[3][7]。葉身は長さ1 - 5センチメートル (cm) 、幅0.5 - 1.5 cmの卵倒形から狭卵倒形、またはへら形で[2]、先端は鈍頭または円頭、基部は次第に細くなって短い葉柄になり[3][4]、最大幅は先寄り[7]葉縁は全縁で、表面は薄い紙質で無毛、裏面は色々を帯び無毛[4]、4 - 5月に若葉を出す[3]

開花時期は4 - 5月[2]。新葉が出るころに単枝から小形の総状花序または散形花序を出し、直径約6 mmの淡黄色から緑黄色の花を2 - 4個下向きに付ける[3]花弁の長さは約2 mmで6個[3]萼片は6個あり、長楕円形で花弁より大きく、淡緑色にわずかに紅色を帯びる[3]雄蕊は6個で花柱は太く[4]、触ると葯が急に内側に曲がる[3][5]雌蕊は1個[3]

果実液果で、長さ7 - 10 mmの楕円形[3]、10 - 11月に鮮やかな赤色に熟す[4]アルカロイドの1種のベルベリンを含む[8][注釈 1]。秋は熟した赤い果実と紅葉が美しく[2]、冬になっても果実が残る[6]

冬芽は枝に互生し、棘の基部につく[6]。冬芽の大きさは小さく、長さは2 mmほどで、赤褐色をした数枚の芽鱗に包まれている[6]

ブラジルではこの植物は日本のメギとして広く知られており、生垣や花壇で広く栽培されています。[9]

分布・生育環境

日当たりのよい藤原岳三重県)の山頂部の原野に生育するメギ

日本では、本州東北地方南部[注釈 2][10]から、四国九州にかけての温帯[7]地域に分布する[3][4]

山地から丘陵にかけての林縁[4]原野に生育し、蛇紋岩の地でもよく生育する[3]。自然分布の他、人の手によって植栽されて生垣としての庭木や公園樹として利用されている[4][7]

種の保全状況評価

秋田県では分布域が限定され、個体数が希少であることからレッドリストの絶滅危惧種IB類(EN)の指定を受けていて、森林伐採や道路工事による個体数の減少が危惧されている[10]新潟県[11]鹿児島県[12]では、絶滅危惧II類(VU)の指定を受けている。大阪府では準絶滅危惧の指定を受けている[13]。国レベルではレッドリストの指定を受けていない[10]

品種

葉が赤紫色の栽培品種(アカバメギ)があり、黄金葉や歩斑入りの栽培品種もある[7]

近縁種

オオバメギ
大葉目木、学名:Berberis tschonoskyana Regel、メギよりも葉が大きく、棘が少なく、枝に稜がない[7]
赤い実をつけたヘビノボラズ
ヘビノボラズ
蛇登らず、学名:Berberis sieboldii Miq.、葉に鋸葉があり、湿地周辺のやせ地に生育する[14]

脚注

注釈

  1. ^ ベルベリンの物質名は、名(メギ属 Berberis)に由来する。
  2. ^ 秋田県にはメギの限定的な分布域がある。

出典

  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “メギ”. BG Plants 和名-学名インデックス(YList). 2016年12月13日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 113.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 林 (2011)、186頁
  4. ^ a b c d e f g h i j k l 菱山 (2011)、107頁
  5. ^ a b c 牧野 (1982)、127頁
  6. ^ a b c d e f 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 225.
  7. ^ a b c d e f g 林 (2014)、138頁
  8. ^ 川島 (1969)、1386頁
  9. ^ Canales, Claudia (2024年4月18日). “Berberis thunbergii: encante seu jardim com a popular Berbére-japonês.” (ポルトガル語). 2024年4月18日閲覧。
  10. ^ a b c 「秋田県の絶滅のおそれのある野生生物 秋田県版レッドデータブック2014(維管束植物)” (PDF). 秋田県. pp. 95. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年12月13日閲覧。
  11. ^ 新潟県第2次レッドリスト2014(維管束植物)カテゴリー順・分類群” (PDF). 新潟県. pp. 10. 2016年12月13日閲覧。
  12. ^ 植物絶滅危惧Ⅱ類(436種)(平成27年度改訂)”. 鹿児島県 (2016年6月30日). 2016年12月13日閲覧。
  13. ^ 大阪府における保護上重要な野生生物 レッドリスト2014(維管束植物)” (PDF). 大阪府. pp. 6. 2016年12月13日閲覧。
  14. ^ 林 (2014)、139頁

参考文献

関連項目

外部リンク