ユキツバキ

ユキツバキ
福島県会津地方 2009年4月
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク上群 superasterids
階級なし : キク類 asterids
: ツツジ目 Ericales
: ツバキ科 Theaceae
: ツバキ属 Camellia
: ユキツバキ C. rusticana
学名
Camellia rusticana Honda[1]
シノニム
  • 本文記載
和名
ユキツバキ(雪椿)

ユキツバキ(雪椿[2]、学名:Camellia rusticana )は、ツバキ科ツバキ属常緑低木。別名、オクツバキ[1]サルイワツバキ[1]ハイツバキ[1][2]。主に日本太平洋側に分布するヤブツバキ東北地方から北陸地方日本海側の多雪地帯に適応したものと考えられ、変種亜種とする見解もある。

新潟県の県木、同県加茂市阿賀町[3]、及び長野県飯山市の花に指定されている。また、ユキツバキ系の園芸品種であるオトメツバキは山梨県昭和町の木に指定されている。

分布と生育環境

本州東北地方岩手県秋田県以南)から北陸地方滋賀県北部)の日本海側に分布し、標高300 - 1000メートルの山地に自生する[2]エゾユズリハヒメモチヒメアオキツルシキミハイイヌガヤなどの日本海要素の常緑地這植物とともに、ブナ林やコナラ林など落葉樹林林床にみられる。このような地域は多雪地帯であり、冬季には3か月にもわたって数メートルの雪に覆われる。その間、ユキツバキは雪に覆われて地表に押しつけられた形で過ごす。

ヤブツバキと近接している地域では、両者の中間型を表すユキバタツバキ(雪端椿、学名:Camellia × intermedia (Tuyama) Nagam.[4])がみられる。

特徴

見樹形を示す

常緑広葉樹の低木で、幹の高さは1 - 2メートル (m) ほどになる[2]。雪の重みに耐えるように適応し、下部から良く枝分かれして、しばしば地面についた枝から発根する[2]。冬期は雪に埋もれながら育ち[5]、樹形は積雪の関係で地を這う形になる。春に雪解けが始まると倒れていた枝は次第に立ち上がり、その姿を現す。

は枝に互生し、短い葉柄がある。葉の形は楕円形で先端は尖り、葉縁はヤブツバキに比べて鋸歯がやや大きくて鋭い。葉身はヤブツバキよりも薄目で、細い葉脈が目立つ[2]

花期は4 - 5月[2]。花期は地域にもよるが、雪が消えかける頃に花を咲かせる[5]は径5 - 8センチメートル (cm) 程度で、5 - 6枚の花弁はヤブツバキよりもやや薄くて水平状に広く開く[2]雄蕊は80個ほどあり、花糸は短く基部でわずかに合着して先はやや開き、濃橙黄色から黄赤色になる[2]。森林下の株では花数が少なく、一枝に複数個をつけることは希だが、林縁部ではより花数が多い株も見られる。

果実はまれに実り、種子は1 - 2個ある。

薬用

ツバキ(ヤブツバキ)と同様に薬用になる。民間療法で、軽い切り傷に葉を噛みつぶして塗ると止血になるといい、乾燥した蕾をお茶代わりに飲むと滋養に役立つといわれる[6]

シノニム

  • Camellia japonica L. var. rusticana (Honda) Tuyama[7]
  • Camellia japonica L. subsp. rusticana (Honda) Kitam.[8]
  • Camellia japonica L. var. decumbens Sugim.[9]

出典

  1. ^ a b c d 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Camellia rusticana Honda”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年7月23日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i 西田尚道監修 学習研究社編 2000, p. 19.
  3. ^ 町の花・木・鳥”. 阿賀町. 2019年2月17日閲覧。
  4. ^ ユキバタツバキ-「BG Plants 和名−学名インデックス」
  5. ^ a b 松倉一夫 2009, p. 82.
  6. ^ 高野昭人監修 世界文化社編『おいしく食べる 山菜・野草』世界文化社〈別冊家庭画報〉、2006年4月20日、108頁。ISBN 4-418-06111-8 
  7. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Camellia japonica L. var. rusticana (Honda) Tuyama”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年7月23日閲覧。
  8. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Camellia japonica L. subsp. rusticana (Honda) Kitam.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年7月23日閲覧。
  9. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Camellia japonica L. var. decumbens Sugim.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年7月23日閲覧。

参考文献