円月橋
円月橋(えんげつきょう)、ムーンブリッジ(Moon bridge)は、中国庭園や日本庭園で見られる大きく湾曲したアーチ状の歩行橋である。円月橋は中国で考案され、その後日本へと伝えられた[1][2][3]。「偃月橋(えんげつきょう)」という名称の庭園もある[3](栗林公園など[4])。
形式的な設計の庭園では、円月橋は水面にその姿が反射するように配置される。高いアーチと水面に映った影で形成された円は、満月を象徴している[1]。
構造
小石川後楽園円月橋の例では石造単アーチ橋で、立面はアーチ部の迫石と壁石からなる[5]。内部は中詰め石が詰められており、中詰め石同士や中詰め石と壁石は銅チギリで固定されている[5]。また、段石は、アーチの最下段に踏み石2個があって段石を支持するとともに最下端の親柱を押さえており、その次に段石12個が並んでおり鉄ダボと砂漆喰で中詰石と固定されている[5]。さらにその上のアーチの上部に敷石19個があり、段石と敷石の下には黒土が密に詰められ、段石や敷石は砂漆喰で固定されている[5]。
円月橋の例
ギャラリー
-
橋と水面に映った影で円が形成された、浙江省南潯鎮にある洪済橋。
-
小石川後楽園の円月橋
参考文献
- ^ a b Bernal, Peggy Park (1999). The Huntington Library, Art Collections, and Botanical Gardens. San Marino, California: Huntington Library. p. 23. ISBN 9780873281348. "Moon bridges were a feature of Chinese garden architecture, adopted by the Japanese in the thirteenth century. The large, rounded bridge is usually known as a moon bridge because the arch and the reflection in the water below form a full form a full moon shape, and also because “moon viewing” from beneath the bridge was a diversion for estate owners cruising on their private lakes."
- ^ Boults, Elizabeth; Sullivan, Chip (2010). Illustrated history of landscape design. Hoboken, NJ: J. Wiley. p. 118. ISBN 978-0-470-28933-4
- ^ a b Ono. “full-moon bridge 偃月橋・円月橋”. Japanese Garden Dictionary: A Glossary for Japanese Gardens and Their History. 2011年9月2日閲覧。
- ^ a b “偃月橋“お色直し”22年ぶり 地域住民ら渡り初め 栗林公園”. 四国新聞. 2023年3月17日閲覧。
- ^ a b c d e 飯田有貴夫、西澤正浩「石造アーチ橋「小石川後楽園円月橋」の解体修復工事」『地盤工学会誌』第62巻第4号、18-21頁。