周期倍分岐
力学系において周期倍分岐(しゅうきばいぶんき、period-doubling bifurcation)とは分岐の一種である。
この分岐では、パラメータが変化していきある値に達すると、安定な不動点が不安定化し、その両側に安定な2周期点が発生する。
具体例
を実数、
を実数のパラメータとして、1次元写像
![{\displaystyle x\to f(x,\mu )=-x-\mu x+x^{3}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/78d97ba2b79fd016116b46406f75980aaa36ff98)
を考える。
は
においては安定な不動点である(
を満たす1周期点である)が、
においては不安定であり、また
において
![{\displaystyle f({\sqrt {\mu },\mu )=-{\sqrt {\mu }](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/cec76a14e1632c1e5541c816520bfe2ed7726e0e)
かつ
![{\displaystyle f(-{\sqrt {\mu },\mu )={\sqrt {\mu }](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/cd79d65f388b793a49ab5237a0cfc2671755c3fd)
であることから、
は2周期点となっていて、かつ安定である。
従って、
が負から正に増加していく過程で0を跨ぐ瞬間に、安定な不動点(1周期点)が不安定化し、その代わりに安定な2周期点がその両側に生じたことになる。
このことから、上記の1次元写像は
を境に周期倍分岐を起こしたと言う。
関連項目
参考文献
- 小室元政(2005)『新版 基礎からの力学系 分岐解析からカオス的遍歴へ』、サイエンス社