城東村 (静岡県小笠郡)
きとうむら 城東村 | |
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高天神城址の遠景 | |
廃止日 | 1973年4月1日 |
廃止理由 |
新設合併 大浜町、城東村 → 大東町 |
現在の自治体 | 掛川市 |
廃止時点のデータ | |
国 | 日本 |
地方 | 中部地方、東海地方 |
都道府県 | 静岡県 |
郡 | 小笠郡 |
市町村コード | 22441-3 |
隣接自治体 | 掛川市、袋井市、小笠郡大浜町、大須賀町、小笠町、菊川町 |
城東村役場 | |
所在地 | 静岡県小笠郡城東村 |
座標 | 北緯34度41分51秒 東経138度03分29秒 / 北緯34.69761度 東経138.05803度座標: 北緯34度41分51秒 東経138度03分29秒 / 北緯34.69761度 東経138.05803度 |
ウィキプロジェクト |
城東村(きとうむら、英語: Kitō Village)は、日本にかつて存在した村である。静岡県小笠郡に属した。
概要
1955年(昭和30年)に静岡県小笠郡にて佐束村と土方村の2村が合併し、城東村が設置された。翌年には小笠郡中村を編入した。その後、村域の一部が小笠郡小笠町や小笠郡大浜町に編入されている。1973年(昭和48年)に城東村は大浜町と合併し、大東町が新設された。
地理
地勢
静岡県の西に位置していた。北に小笠山や佐束山が、西には高天神山が位置していた。村内を下小笠川や佐束川が南北に縦断していた。全域が現在の静岡県掛川市に含まれる。
隣接していた自治体
歴史
沿革
1955年(昭和30年)1月1日に静岡県小笠郡の佐束村と土方村が合併して、城東村が発足した。同年2月に山崎金一が初代村長に就任した[5]。1956年(昭和31年)9月30日には中村を編入した。1957年(昭和32年)9月1日には、城東村の大石の一部が小笠町に編入されるとともに、城東村の中の一部が大浜町に編入された。1958年(昭和33年)1月1日には城東村の大石の一部が小笠町に編入された。同年4月1日には城東村の海戸の一部が小笠町に編入された。
山崎金一は1958年(昭和33年)4月に村長を退任し[5]、同年4月に岡本善夫が後任の村長に就任した[5]。岡本善夫は1962年(昭和37年)4月に村長を退任し[5]、同年4月に赤堀孫平が後任の村長に就任した[5]。1973年(昭和48年)4月1日、城東村と大浜町が合併して大東町が発足した。それに伴い、同年4月1日に城東村は廃止された。
年表
- 1955年 - 佐束村、土方村が合併して城東村を新設。
- 1955年 - 山崎金一が村長に就任[5]。
- 1956年 - 中村を編入。
- 1957年 - 一部を小笠町に編入、一部を大浜町に編入。
- 1958年 - 一部を小笠町に編入。
- 1958年 - 一部を小笠町に編入。
- 1958年 - 岡本善夫が村長に就任[5]。
- 1962年 - 赤堀孫平が村長に就任[5]。
- 1964年 - 小笠池竣工[1]。
- 1973年 - 城東村、大浜町が合併して大東町を新設。
行政
歴代村長
城東村 村長 | ||||
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代 | 氏名 | 就任日 | 退任日 | |
1 | 山崎金一 | 1955年2月 | 1958年4月 | |
2 | 岡本善夫 | 1958年4月 | 1962年4月 | |
3 | 赤堀孫平 | 1962年4月 | 1966年4月 | |
4 | 1966年4月 | 1970年4月 | ||
5 | 1970年4月 | 1973年3月 |
経済
産業
城東村では農業が盛んであり、主産品として茶が重要視されていた。城東村立佐束小学校の校章にはチャノキの花と葉があしらわれるほどであった。
また、菊川照明の本社が設立されるなど、著名な企業の創業の地としても知られている。日本酒を醸造し品評会で入賞を繰り返した土井酒造場や、ソケットレンチで高いシェアを占める山下工業研究所なども操業しており、両社はかつての城東村の村域に現在でも本社を設置している。
主な企業
教育
- 城東村立佐束小学校
- 城東村立土方小学校
- 城東村立中小学校
- 城東村立城東中学校
神社仏閣
村内には多数の神社が鎮座しており、人々の信仰を集めていた。かつての郷社としては、高天神社が鎮座していた[6]。高天神社は高天神城を守護する神社として知られている。かつての村社としては、春日神社[7][8]、二宮神社[7][8]、八幡神社[8]、小笠神社[8]、素我神社[8]、比奈多乃神社[8]、津島神社[8]、小谷神社[8]、八坂神社[8]、八幡神社[8]、神明神社[8]、赤山神社[8]、津島神社[8]、が鎮座していた。かつての無格社としては、白山神社[7][9]、猿田彦神社[7][9]、山王神社[9]、などが知られている。なお、小笠神社は1919年(大正8年)に郷社に昇格し[10]、1945年(昭和20年)には県社に昇格した[10]。小笠神社は大須賀町に鎮座する三熊野神社や浜岡町に鎮座する高松神社とともに文武天皇の命により熊野三山から勧請されたため「遠州の熊野三山」と称される。
なお、城東村の中でも旧中村に鎮座する神社のほとんどは、村に満勝寺が創建された後に建てられた[11]。また、高天神城の戦いの直後に創建や再興されたものが多いが[11]、これは戦乱により避難を余儀なくされていた住民が帰村し祭祀を再興したためとみられる[11]。具体的には、1086年に素我神社が創建され[11]、同年(旧暦応徳2年)に天王社が勧請された[11]。1447年には八幡社が[11]、1491年には神明社が[11]、それぞれ創建された[11]。1586年には赤山神社が創建され[11]、1587年には八坂社・八幡社が修築されるとともに[11]、同年には諏訪神社も創建された[11]。1649年には白山神社が創建された[11]。
一方、村内には多数の寺院や堂宇も創建され、人々の信仰を集めていた。八相寺[7]、宗禅寺[7]、意正院[7][12]、弘法堂[7]、浮島堂[7]、地蔵堂[7]、などが知られている。
- 白山神社[7][9]
- 猿田彦神社[7][9]
- 二宮神社[7][8]
- 春日神社[7][8]
- 八幡神社[8]
- 小笠神社[8]
- 小谷神社[8]
- 比奈多乃神社[8]
- 津島神社[8]
- 高天神社[6]
- 山王神社[9]
- 素我神社[8]
- 八坂神社[8]
- 八幡神社[8]
- 神明神社[8]
- 赤山神社[8]
- 津島神社[8]
- 八相寺[7]
- 宗禅寺[7]
- 意正院[7][12]
- 弘法堂[7]
- 浮島堂[7]
- 地蔵堂[7]
- 今瀧寺
交通
村内に鉄道は敷設されておらず、駅も設置されていない。主要な道路は下記のとおりである。道路の呼称は現在のものである。
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
著名な祭事としては、小笠神社の矢矧祭、高天神社の例大祭、八坂神社の祇園祭などが挙げられる。
1086年(旧暦応徳2年)に始まった八坂神社の祇園祭は[13]、1984年(昭和59年)に「大東町八坂神社の祇園囃子と祭礼行事」[14][† 1]として静岡県指定無形民俗文化財に指定されている[13]。
出身の人物
- 靑野卯吉(銀行家・政治家) - 土方村村長
- 石川嘉延(自治官僚・政治家) - 静岡県知事
- 鵜藤俊平(水泳選手) - ベルリンオリンピック銀メダリスト
- 加藤定吉(実業家・政治家) - 衆議院議員
- 菅沼五十一(詩人) - 浜松ユネスコ協会会長
- 鈴木登(内務官僚・政治家) - 青森県知事、長野県知事
- 高塚龜次郞(教育者・政治家) - 土方村村長
- 竹內薰兵(医師・医学者) - 竹内病院院長
- 角替九郞平(農家・政治家・銀行家) - 土方村村長
- 角替弘志(教育学者) - 常葉学園大学学長
- 角替利策(農芸化学者) - 絹業試験所技師
- 寺崎乙治郎(ジャーナリスト・政治家) - 静岡県会議長
- 原川孫九郞(政治家) - 佐束村村長
- 增田又右衞門(教育者) - 北浜高等女学校校長
- 松本亀次郎(言語学者・教育者) - 東亜高等予備学校教頭
- 山下宗一郎(実業家) - 山下工業研究所社長
- 吉岡彌生(医師・医学者) - 東京女子医科大学学頭
- 鷲山恭平(社会運動家・実業家・政治家) - 大日本報徳社副社長
- 鷲山恭彦(文学者・社会運動家) - 東京学芸大学学長
脚注
註釈
出典
- ^ a b 「西部地域施設概要:小笠池」『西部地域施設概要:小笠池|静岡県公式ホームページ』静岡県庁、2023年1月13日。
- ^ 「西部地域施設概要:仏沢池」『西部地域施設概要:仏沢池|静岡県公式ホームページ』静岡県庁、2023年1月13日。
- ^ 「西部地域施設概要:田ケ池」『西部地域施設概要:田ケ池|静岡県公式ホームページ』静岡県庁、2023年1月13日。
- ^ a b c d e 東京帝國大學編纂『古簡集影』11輯、七條書房、1932年。
- ^ a b c d e f g h 大東町6・3制教育のあゆみ編集委員会編集『大東町6・3制教育のあゆみ40年史』城東編、大東町教育委員会、1989年、797頁。
- ^ a b 鈴木彌一郞編輯『現行神社法規』鈴木彌一郞、1908年、151頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 篠田雀編輯『新撰鄕土史体系』國民通信社調査部、1934年、62頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z 鈴木彌一郞編輯『現行神社法規』鈴木彌一郞、1908年、154頁。
- ^ a b c d e f 鈴木彌一郞編輯『現行神社法規』鈴木彌一郞、1908年、159頁。
- ^ a b 掛川市『掛川市歴史的風致維持向上計画』2018年1月、138頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l 「天王祭とは」『天王祭とは - 観光サイト』掛川市観光交流課文化・スポーツ振興課、2021年8月3日。
- ^ a b 島田良彥編纂・著述『淨圡宗寺院名鑑』浄土敎報社、1902年、61頁。(「淨圡宗」「浄土敎報社」の表記は原文ママ。)
- ^ a b c 「八坂神社祇園祭の紹介」『八坂神社祇園祭の紹介 - 観光サイト』掛川市観光交流課文化・スポーツ振興課、2021年4月1日。
- ^ a b 「しずおか文化財ナビ――大東町八坂神社の祇園囃子と祭礼行事」『しずおか文化財ナビ 大東町八坂神社の祇園囃子と祭礼行事|静岡県公式ホームページ』静岡県、2013年1月19日。
参考文献
- 角川日本地名大辞典 22 静岡県