歩行障害
歩行障害(ほこうしょうがい、gait disturbance)とは先天性、後天性の双方を含めた様々な事柄を原因として自力で歩行することが困難あるいは不可能となってしまった状態。現代は高齢化社会とも言われるように高齢者の増加と共に歩行障害となった老人の増加が著しく社会問題となっている。若年層においても様々な病気を原因として歩行障害となる者は多い[1][2][3]。アルコール依存症も歩行障害の原因となることがある。
種類
詳細は「en:Category:Gait abnormalities」を参照
異常歩行は神経筋疾患、運動器疾患、加齢などが原因で引き起こされる[4]。このほか異常歩行は外傷(ねんざ等)、下肢長差、筋疾患、疼痛などでも引き起こされる[5]。
- すくみ足(frozen gait) - すくみ足は中枢神経疾患にみられる症状で下肢の屈筋と伸筋が同時収縮する現象をいう[6]。
- 小刻み歩行(brachybasia) - 小刻み歩行は血管障害性対麻痺、脳卒中、パーキンソン病患者に見られる歩容で、前屈姿勢で足底をこするような歩行をいう[6]。歩行時に一方の踵がもう一方の足先を超えられない[7]。高齢者で見られる小股歩行や、パーキンソン歩行とは区別される[7]。
- 失調性歩行(gait ataxia) - 継ぎ足歩行、hopping(片足ケンケン)や両手を広げてバランスをとるなどが見られる[8]。
- 動揺性歩行(動揺歩行、waddling gait) - 進行性筋ジストロフィーの症状で腰椎の弯曲の増強により下肢の内旋と尖足を伴った左右の揺れの大きい歩行をいう[5]。
- 間欠性跛行(間欠性歩行困難症、Intermittent claudication) - 下肢の動脈の閉塞や狭窄などが原因で見られる歩行[5]。
- 鋏脚歩行(はさみ足歩行) - 2種類あるので混同する可能性がある。(1)一歩をその脚の逆側に進める歩行(2)両ひざを密着させX脚の形で行う歩行[9]
- 千鳥足
- 跛行 - 外傷や奇形による。
- 有痛性歩行
- パーキンソン歩行[10] - パーキンソン病や、症候性パーキンソニズムで認められ、前傾姿勢で歩行時に徐々に速くなり突進する(加速歩行)、後ろから押された時に足が踏み出せず、踏み出した後は加速歩行のようになる(突進歩行)、歩行中に足を前に踏み出せず、前身できなくなる(すくみ足歩行)、歩行開始時に一歩めが踏み出せない(踏み出し障害)、階段や横線などの視覚的刺激でスムーズに歩行できる(矛盾性歩行)などの症候が見られる[7]。
- トレンデレンブルグ歩行
- 感覚性失調歩行[10]
- 心因性歩行(cautious gait)[10]
など
脚注
- ^ 毛細血管拡張性運動失調症チルドレンズプロジェクト
- ^ 厚生労働省難治性疾患克服事業
- ^ eduママ悩み相談室
- ^ 竹井仁 監修 2013, p. 147.
- ^ a b c 竹井仁 監修 2013, p. 150.
- ^ a b 竹井仁 監修 2013, p. 149.
- ^ a b c 『メディカルスタッフのための神経内科学』 河村満編「歩行障害」近藤正樹 医師薬出版株式会社(2012)p59
- ^ “コラム”. www.med.gifu-u.ac.jp. 2023年3月5日閲覧。
- ^ “コラム”. www.med.gifu-u.ac.jp. 2023年3月5日閲覧。
- ^ a b c 和田直樹「歩行障害の種類と原因疾患」『リハビリテーション医学』第55巻第9号、日本リハビリテーション医学会、2018年9月、730-734頁、doi:10.2490/jjrmc.55.730、ISSN 18813526、CRID 1390845713014339072。
参考文献
- 竹井仁『筋肉と関節のしくみがわかる事典 : ビジュアル版』西東社、2013年。ISBN 9784791618477 。
- 河村満『メディカルスタッフのための神経内科学』医歯薬出版、2012年。ISBN 9784263214114。全国書誌番号:22160216 。