第一海軍卿

第一海軍卿
兼海軍参謀総長
(1SL/CNS)[1]
イギリス王立海軍旗
現職者
サー・ベン・キー英語版海軍大将

就任日 2021年11月
組織国防省
指名国防大臣
任命首相
初代就任ジョン・アーバスノット・フィッシャー海軍元帥
ウェブサイト公式サイト

第一海軍卿兼海軍参謀総長(だいいちかいぐんきょう けん かいぐんさんぼうそうちょう、First Sea Lord and Chief of the Naval Staff、略称: 1SL/CNS)は、イギリス海軍の武官の最高位[注釈 1]

国防参謀総長、国防参謀次長、陸軍参謀総長、空軍参謀総長、戦略軍司令官と共に参謀長委員会を構成する。

名称

1771年にファースト・ネイヴァル・ロード(First Naval Lord)が設けられ、1868年にファースト・シー・ロード(First Sea Lord)と改称されたが、役割は同じであり、日本語では両者とも第一海軍卿と訳される。

1917年以降の正式名称は第一海軍卿兼海軍参謀総長(First Sea Lord and Chief of the Naval Staff)であると訳される。

概要

イギリス海軍武官(制服組)の最高ポストである第一海軍卿は、同時に海軍本部委員会(Admiralty Board) の一員でもあり、同委員会における制服組のトップである。

他国の海軍において第一海軍卿に相当する官は、日本では旧海軍軍令部総長海上自衛隊海上幕僚長アメリカにおいては海軍作戦部長である。

1964年に海軍省、陸軍省、航空省が国防省に統合されることとなり、海軍本部も国防省に吸収されたが、第一海軍卿の役職名は維持された。

2017年現在、第一海軍卿は、国防参謀総長を長とする参謀長委員会(それぞれ、アメリカ軍統合参謀本部議長統合参謀本部に相当)のメンバーであり、国防相首相を補佐する。

2020年現在、第一海軍卿を筆頭とする、イギリス海軍のシニア・ネイヴァル・スタッフ(Senior Naval Staff)は下記の通りである[2]

  • 第一海軍卿兼海軍参謀総長(First Sea Lord and Chief of Naval Staff)
  • 第二海軍卿兼海軍参謀次長(Second Sea Lord and Deputy Chief of Naval Staff):人事・装備・インフラを管掌
  • 艦隊司令官(Fleet Commander):艦船の造修を管掌

ファースト・ロード (First Lord of the Admiralty) との相違

ファースト・ロード (First Lord of the Admiralty)は、海軍本部Admiralty、イギリス海軍を統括・管理する機関における政治家のポストであり、「海軍大臣」あるいは「海軍卿」と和訳するのが一般的である。

通常は、「第一海軍卿」と和訳されていれば、イギリス海軍における最高位の武官であり、本記事の主題である、「ファースト・ネーバル・ロード」または「ファースト・シー・ロード」を指す[3]

歴代第一海軍卿

サー・トマス・ハーディ(1830年 – 1834年)

ファースト・ネイヴァル・ロード(1771年 – 1868年)

  • 1771年 – 1775年:オーガスタス・ハーヴィー
  • 1775年 – 1779年:初代準男爵サー・ヒュー・パリザー英語版
  • 1779年 – 1780年:ロバート・マン英語版
  • 1780年 – 1782年:ジョージ・ダービー英語版
  • 1782年 – 1783年:初代準男爵サー・ロバート・ハーランド英語版
  • 1783年:ヒュー・ピゴット英語版
  • 1783年 – 1789年:ジョン・ルーソン=ゴア閣下英語版
  • 1789年 – 1795年:初代フッド男爵サミュエル・フッド
  • 1795年:サー・チャールズ・ミドルトン
  • 1795年 – 1801年:ジェームズ・ガンビア英語版
  • 1801年 – 1804年:初代準男爵サー・トマス・トラウブリッジ
  • 1804年 – 1806年:ジェームズ・ガンビア英語版
  • 1806年 – 1807年:ジョン・マーカム英語版
  • 1807年 – 1808年:ジェームズ・ガンビア英語版
  • 1808年 – 1812年:第2代準男爵サー・リチャード・ビッカートン英語版
  • 1812年 – 1813年:ウィリアム・ドメット英語版
  • 1813年 – 1816年:サー・ジョセフ・ヨーク英語版
  • 1816年 – 1820年:サー・グラハム・ムーア英語版
  • 1820年 – 1827年:サー・ウィリアム・ジョンストン・ホープ英語版
  • 1828年 – 1830年:第10代準男爵サー・ジョージ・コバーン英語版
  • 1830年 – 1834年:サー・トマス・ハーディ
  • 1834年:ジョージ・ヘニッジ・ダンダス
  • 1834年:チャールズ・アダム英語版
  • 1834年 – 1835年:第10代準男爵サー・ジョージ・コバーン英語版
  • 1835年 – 1841年:サー・チャールズ・アダム英語版
  • 1841年 – 1846年:第10代準男爵サー・ジョージ・コバーン英語版
  • 1846年:初代準男爵サー・ウィリアム・パーカー英語版
  • 1846年 – 1847年:サー・チャールズ・アダム英語版
  • 1847年 – 1852年:サー・ジェームズ・ダンダス英語版
  • 1852年:モーリス・フィッツハーディング・バークリー閣下英語版
  • 1852年 – 1854年:ハイド・パーカー英語版
  • 1854年 – 1857年:モーリス・フィッツハーディング・バークリー閣下英語版
  • 1857年 – 1858年:リチャード・サンダース・ダンダス閣下英語版
  • 1858年 – 1859年:サー・ウィリアム・マーティン英語版
  • 1859年 – 1861年:リチャード・サンダース・ダンダス閣下英語版
  • 1861年 – 1866年:サー・フレデリック・グレイ閣下英語版
  • 1866年 – 1868年:サー・アレグザンダー・ミルン英語版

第一海軍卿(1868年-1964年)

ルイス・マウントバッテン(1955年 – 1959年)

脚注

注釈

  1. ^ イギリス軍における武官の最高のポストである国防参謀総長に就任する場合もある。

出典

  1. ^ Admiralty: Office of the First Sea Lord, later First Sea Lord and Chief of the Naval Staff: Correspondence and Papers”. discovery.nationalarchives.gov.uk. The National Archives. UK. 2017年2月6日閲覧。
  2. ^ SENIOR NAVAL STAFF”. イギリス海軍. 2020年12月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月13日閲覧。
  3. ^ 小林 p36-37
  4. ^ First Sea Lord and Chief of Naval Staff”. イギリス国防省. 2012年4月8日閲覧。
  5. ^ “Admiral Sir Mark Stanhope In Farewell To The Royal Navy” (英語) 第一海軍卿の交代式典について報じるイギリス海軍のニュースリリース。2013年4月9日掲載、2013年4月28日閲覧。

関連文献

  • 小林幸雄『図説イングランド海軍の歴史』原書房、2007年1月。ISBN 978-4-562-04048-3 

関連項目