荘司雅子
荘司雅子 | |
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生誕 |
荘嫌/荘無嫌 1909年10月6日 ![]() |
死没 |
1998年2月22日![]() |
研究分野 | 教育学 |
研究機関 | 広島大学 |
出身校 | 広島文理科大学 |
主な業績 |
フリードリヒ・フレーベル研究 幼稚園教育学 |
影響を 受けた人物 | 長田新 |
プロジェクト:人物伝 |
荘司 雅子(しょうじ まさこ、1909年10月6日 - 1998年2月22日)は、日本の教育学者。広島大学名誉教授。フレーベル研究の第一人者。日本では女性で最初の文学博士取得者。
生涯
日本統治下の台湾、現在の嘉義県朴子市の生まれで、旧名は荘嫌(そう けん)、のちに荘無嫌(そう ぶけん)に改名[1]。奈良女子高等師範学校(現奈良女子大学)を卒業後、広島文理科大学(現広島大学)教育学科に進学。そこで、ペスタロッチ研究者として知られる長田新に師事。フリードリヒ・フレーベルと幼稚園教育学を研究テーマに選ぶ。
卒業後、広島大学で助手、講師、助教授を経て、教授となる。1953年「フレーベル研究」で日本では女性で最初の文学博士の学位を取得。定年退職後、聖和女子大学(その後聖和大学、現関西学院大学教育学部)の教授などを務めた。1981年勲三等瑞宝章受章。また、晩年は、体の衰えで車椅子の生活を余儀なくされていたが、その障害をおして日本保育学会、日本ペスタロッチー・フレーベル学会の会長も勤めた。ドイツのイェーナ大学からはフレーベル研究でシラー賞を授与されている。
彼女の業績は、主著の『フレーベル研究』と『フレーベルの教育学』のほか、玉川大学の小原国芳との共同による『フレーベル全集』の監訳がある。また看護、福祉、心理で話題になる発達課題につき、その提唱者ロバート・J・ハヴィガーストの著書を昭和20年代にいち早く邦訳紹介したのも彼女である。現在出ているその本は、復刊されたものである。
生涯独身であり、養女の安子がいたが、2010年に逝去。 フレーベル教育学の研究者で常磐会学園大学国際こども教育学部教授・荘司泰弘は甥。
広島での被爆
広島文理大で助手を務めていた[2]1945年8月6日、米軍による広島市への原爆投下で被爆した[3][4]。妹で、荘司を頼って広島に滞在して被爆した荘司富子(荘來富)は戦後、台湾へ帰った後も原爆症とみられる症状に苦しんで1963年に再来日し、被爆者健康手帳を取得。海外に住む被爆者(在外被爆者)としては手帳取得第1号となった[5][6]。
著作
単著
- 『フレーベルの教育学』大八洲出版、1944 玉川大学出版部 1984年
- 『フレーベル研究』大日本雄弁会講談社、1953 玉川大学出版部 1984年
- 『幼児教育学』柳原書店、1955
- 『フレーベル』牧書店、1957
- 『西欧教育視察記』刀江書院 1966
- 『幼児教育概論』福村出版 1967
- 『ヒューマニズムの教育思想』刀江書院 1968
- 『フレーベル「人間教育」入門』明治図書出版 1973年
- 『幼児教育の原理と方法』保育学講座 フレーベル館、1974
- 『フレーベルの生涯と思想』玉川大学出版部 1975年
- 『親と子のための平和教育』広島平和文化センター 1982
- 『幼児教育の思想』玉川大学出版部 1990年
- 『学問の道草 荘司雅子エッセイ集』玉川大学出版部 1993年
共著
- 『日本の幼児教育 その問題点をめぐりて』長田新,山下俊郎共著 フレーベル館 1956
- 『世界の社会教育』編著 柳原書店 1959
- 『現代西洋教育史』編 亜紀書房 1969
- 『ゆたかでつよい心をそだてる』編 キュックリヒ記念財団 1977 現代幼児教育シリーズ
- 『幼児教育の源流』編 明治図書出版 1977
翻訳
- ロバート・J・ハヴィガースト『人間の発達課題と教育・幼年期より老年期まで』共訳 牧書店 1958 玉川大学出版部 1995年
- M.J.アドラー, M.メイヤー『教育革命 岐路に立つ20世紀の教育』共訳 刀江書院 1961
- アーウィン・エドマン『ジョン・デューイ その哲学の現代への寄与』土井嗣夫,上寺久雄共訳 刀江書院 1961
- フレーベル『リナはどうやって文字を覚えたか』フレーベル館 1971
- 『フレーベル全集』全5巻 玉川大学出版部 1976-1981年
脚注
- ^ 記一位身影遙遠又堅定的學姐──莊無嫌、南女風華一世紀
- ^ 宍戸健夫 (201512-25). “2. 保育フォーラム テーマ「子ども・保育と戦後70年―歴史的視点から保育の課題をとらえる―」”. 保育学研究 (一般社団法人日本保育学会) 53 (3): 94. doi:10.20617/reccej.53.3_332. ISSN 2424-1679 .
- ^ 荘司泰弘 (2005-06-30). “荘司雅子におけるフレーベル受容(その1) ―人間教育から人間性の教育へ―”. 人間教育の探究 (日本ペスタロッチー・フレーベル学会) 17: 1-16. doi:10.57416/jsspf.17.0_1. ISSN 2758-2752 .
- ^ 森澤一由 (2004-01). “荘司雅子先生葬儀式辞 : 平和教育の源流”. 幼児の教育 (日本幼稚園協会) 103 (1): 39-41. hdl:10083/47804 .
- ^ 「在外被爆者健康手帳 第1号交付の女性確認」『中国新聞』2012年7月27日、朝刊。オリジナルの2025年1月13日時点におけるアーカイブ。2025年2月16日閲覧。
- ^ 「流転 外国人被爆者手帳「1号」 2 来日 "後遺症"の治療求め」『長崎新聞』2012年8月1日、朝刊。オリジナルの2024年6月15日時点におけるアーカイブ。2025年2月16日閲覧。
外部リンク
- 荘司雅子の生涯(甥の荘司泰弘によるフレーベルサイトの該当ページ)