波数

波数
wavenumber
量記号 k, ~ν
次元 L−1
SI単位 毎メートル (m−1)
CGS単位 カイザー (K)
FPS単位 毎フィート (ft−1)
テンプレートを表示

波数(はすう、: wavenumber)とは、空間周波数である。正弦波の波数は、波長逆数、またはその 2π 倍として定義される。後者は前者と区別して、角波数(かくはすう、: angular wavenumber)と呼ばれることがある。 直感的には、波数は単位長さの直線(または角波数の場合、単位円周上)に何波長分の波が入るかを表している。

波数を表す記号として、k, ~ν がよく用いられる。前者はもっぱら角波数に用いられ、後者は波長の逆数としての波数に用いられる。

波数の単位は、国際単位系では毎メートルが用いられる。また、CGS単位系では毎センチメートルが用いられる。波数は分光学において頻繁に現れる量であるため、カイザーがしばしば単位に用いられる。

分光学

物理化学分光学の分野では単位長さ当たりの波の個数を指し、波数 ~ν波長 λ逆数

となる。

しばしば波数 ~ν は間接的に周波数 ν を指すこともあり、真空中の光速度 c を用いて

と関係付けられる。

歴史的にはヨハネス・リュードベリ1880年代に初めて着目し、1908年リュードベリ・リッツの結合原理において、公式の中に波数を現した。その後、スペクトル線に関する研究が進むにつれ、量子論によってエネルギー準位の差が波数や周波数に比例することがわかった。例えば、水素スペクトル系列リュードベリの式英語版によって

と表される。ここで、Rリュードベリ定数n, m (n < m)主量子数である。

波動力学

波動力学では正弦波の波数を指し、波数 k2π波長 λ で割った量

となる。つまり、1 波長分の波を 1 個と数えたとき、波数 k は単位長さ当たりの波の個数を 2π 倍したものに相当する。このとき、k = 2π/λ角波数 (angular wavenumber) と呼ばれる。

正弦波 u振幅A振動数ν波長λ とすると

のように表示される。ここで、t時刻x位置ω角振動数である[1]

しばしばフーリエ変換において、実空間の座標の双対として波数 k が用いられる。また量子力学においては波数ベクトル kディラック定数 ħ を掛けた ħk運動量 p に対応する[2]

波数ベクトル

古典的には、向きが波面の法線方向(つまり波の伝播方向)で、大きさが波数となるベクトルを、波数ベクトル(あるいは伝播ベクトル、wave vector, k-vector)と定義する。

なお、波数ベクトル k は十分大きな整数の組 (N1, N2, N3) を考えると、

で表される。b = (b1, b2, b3)逆格子空間での基本並進ベクトル。整数 m = (m1, m2, m3) は、いろいろな範囲設定が可能だが、一例としてそれぞれ (0, ⋯, N1 − 1; 0, ⋯, N2 − 1; 0, ⋯, N3 − 1) の範囲の任意の整数と設定できる。

脚注

出典

関連項目

外部リンク