13区 (パリ)

パリ・13区の位置
パリ・13区の位置

パリ13区 (13く、: 13e arrondissement de Paris) は、フランス首都・パリ市を構成する20の行政区のひとつである [1]。第13区、パリ13区ともいう。市の南部に位置しており、セーヌ川の南岸に面している。

概要

パリの13区は、14区とともに、市の南部にある行政区。「ゴブラン区 (Arrondissement des Gobelins)」と呼ばれることもある [2]セーヌ川の南の地域にある。南には、ペリフェリック (パリ環状道路)に沿う形で市の境界線が敷かれており、ヴァル=ド=マルヌ県に接している。人口は171,533人 (1999年)で、20区の中では5番目に多い(人口の推移等詳細については後述)。

区の名称は、市の中央部から時計回り螺旋を描くようにして各区に付けられた番号を基にしており、当区はその13番目にあたることから、「13区」と名づけられた。オステルリッツ駅(ガール・ドステルリッツ)国立図書館新館(フランソワ・ミッテラン図書館)、イタリア広場などがある。1970年代後半以降、再開発が進み高層住宅等が建ち並び、また、パリ最大の中華街が、イタリア広場の南側の地区にある。

地理

パリ・13区の詳細地図
La passerelle Simone-de-Beauvoir (国立図書館新館から対岸12区のベルシー公園へ、セーヌ川を跨ぐシモーヌ・ド・ボーヴォワール橋
ゴブラン大通りから見るパンテオン

13区は、14区とともに、パリ南部に位置している。セーヌ川の南岸に面しており [3]リヨン駅やベルシー公園の対岸にあたる区域である。面積は7.15 平方キロメートルで、20区のうちでは4番目に大きい。

北は、同じパリの行政区である5区に接している。南は、ペリフェリック (パリ環状道路)に沿う形でパリ市の境界線が敷かれ、ヴァル=ド=マルヌ県の各自治体、南東はイヴリー=シュール=セーヌ、南はル・クルムラン=ビセートル、南西はジャンティイに接している。東は、セーヌ川を挟んで12区に接し、西は、モンパルナス地区のある14区に接している。

地形

  • ビエーヴル川フランス語版la Bièvre
    • かつて、パリの南から市内に入り、セーヌ川に注いでいた自然の河川で、現在のケレルマン公園付近で13区内に入り、イタリア広場の西方を大きく蛇行して、植物園の南でセーヌ川に合流していた。生活排水や工場の廃液により水質汚染が進み、20世紀の初めに暗渠化されたが、近年、再生が試みられている [4][5]

隣接する自治体(行政区)

地区(カルチェ)

パリ・13区のカルチエ詳細図

パリの行政区は、それぞれ4つの地区(カルチェ)に区分されている。13区を構成する4地区のコードと名称は、次のとおりである。

  • 49 - サルペトリエール地区 (Quartier de la Salpêtrière)
  • 50 - ガール地区 (Quartier de la Gare)
  • 51 - メゾン=ブランシュ地区 (Quartier de la Maison-Blanche)
  • 52 - クルールバルブ地区 (Quartier de Croulebarbe)

住民

人口

13区の人口は、1872年には69,431人であったのが、90年後の1962年には約10万人増の166,709人となった。1968年に一旦減となったが、その後は増加を続け、1999年には171,533人となり、過去最大の人口を記録した。20区のうちでは5番目に人口が多い。1975年以降は、パリの人口の7パーセント台で推移していたが、1999年には8パーセント台に突入した。2005年の推計では181,300人と見積もられており、更なる人口の増加が見込まれている。

また、人口の増加とともに人口密度も増加しており、1999年の人口密度は、1872年の約2.5倍の24,004人となっている。人口の推移の詳細は、次のとおりである。

区人口 市人口 区人口/市人口 区人口密度 市人口密度 備考
1872年 69,431 1,851,792 3.75% 9,716 21,303
1954年 165,620 2,850,189 5.81% 23,177 32,788
1962年 166,709 2,790,091 5.98% 23,329 32,097
1968年 158,280 2,590,771 6.11% 22,149 29,804
1975年 163,313 2,299,830 7.10% 22,854 26,457
1982年 170,818 2,176,243 7.85% 23,904 25,035
1990年 171,098 2,152,423 7.95% 23,943 24,761
1999年 171,533 2,125,246 8.07% 24,004 24,449 人口が過去最大を更新。
2005年 181,300 2,166,200 8.37% 25,371 24,920 人口は推計。

歴史

第13区庁舎、イタリア広場より
Manufacture nationale des Gobelins

政治・行政・司法

主な官公庁・公共機関

  • 第13区役所 (Mairie du 13e arrondissement) - イタリア広場の北側に面している。

経済

主な企業

  • ル・モンドLe Monde
    • オーギュスト=ブランキ大通り (Boulevard Auguste-Blanqui) 80番地にある世界的に知られている新聞社。
  • BPCEBPCE
    • ピエール・マンデス=フランス大通り(Avenue Pierre Mendès-France) 50番地に所在する、二行合併後のフランス第2の金融資本グループ。

主な工場

主な店舗・商業施設

  • イタリー2 (イタリー・ドゥー、Italie 2) - イタリア広場の南に面しているグラン・エクラン内にあるショッピングセンター

健康・福祉

20世紀前半〜半ばに建造された13区内の古典的低家賃住宅 (HBM, 現在はHLM表記)。20世紀以降, ティエールの城壁周りに形成された貧民窟ラ・ゾンヌ (La Zone) 対策の為にパリ環状に建造された。

保健・医療

教育

国立高等工芸学校 (ENSAM)
エコール・エティエンヌ

大学等

文化施設

サン=マルセル大通り (Boulevard Saint-Marcel) にあるジャンヌ・ダルク、フランスの解放者 (Jeanne d'Arc libératrice de la France) 像

美術館・博物館

  • ゴブラン・ギャラリー (Galerie des Gobelins

映画館・劇場

その他

  • 国立図書館新館 (フランソワ・ミッテラン図書館) (Bibliothèque Nationale de France (BNF))

体育施設

陸上競技場・体育館など

  • ジョルジュ・カルパンティエ競技場 (Stade Georges Carpentier
  • セバスティアン・シャルレティ競技場 (Stade Sébastien Charléty
    • 13区の南西部にある総合スポーツ施設。単に「シャルレティ競技場」ともいう。サッカーラグビーテニス体操などのための施設が整備されている。
夏季の Piscine Joséphine-Bakerフランソワ=モーリアック河岸

プール

  • ジョゼフィーヌ=バケル・プール (ピシーヌ・ジョゼフィーヌ=バケル、Piscine Joséphine-Baker
  • ビュット=オ=カイユ・プール (Piscine de la Butte-aux-Cailles) - パリで最も古いプールのひとつ。歴史的建造物に指定されている。


宗教施設

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教会・寺院

  • サンタンヌ・ド・ラ・ビュット=オ=カイユ教会 (Église Sainte-Anne de la Butte-aux-Cailles
  • サン=マルセル教会 (Église Saint-Marcel
  • ノートル=ダム=ド=ラ=ガール教会 (Église Notre-Dame-de-la-Gare

観光・憩い

建築

1970年代半ば〜後半以降に建ち並び始めた下記「オランピアード」などの他、現在も13区内ではセーヌ川左岸「Paris Rive Gauche」が高層建築物等の再開発地区にあたる。景観高さ規制の厳しいパリ市内では1970年代半ば以降建設された15区の「Front-de-Seine」もよく知られている。パリ郊外の「ラ・デファンス」も有名。

ギャラリー・ラファイエットから眺める、ソルボンヌ大学天文台パンテオン、そしてLes Olympiades
13区のパノラマ風景

公園・緑地等

  • ケレルマン公園 (Parc Kellermann
  • ショワジー公園 (Parc de Choisy
  • ブラッシャイ庭園 (ジャルダン・ブラッサイ、Jardin Brassaï
  • ムーラン・ド・ラ・ポワント庭園 (Jardin du Moulin de la Pointe
  • ルネ=ル・ガル公園 (Square René-Le Gall

交通

鉄道

高速道路・有料道路

  • ペリフェリック (パリ環状道路) (Boulevard Périphérique
    • ケ・ディヴリー - ポルト・ディヴリー - ポルト・ディタリー - ポルト・ド・ジャンティイ
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道路

  • アミラル=ムーシェ通り(Rue de l'Amiral-Mouchez
  • アラゴ大通り(Boulevard Arago
  • イヴリー大通り(Avenue d'Ivry
  • イタリア大通り(イタリー大通り, Avenue d'Italie
    • フォンテーヌブロー方面へのパリの南の玄関口、13区内中心にあるイタリー広場(イタリア広場)から南側へ、中華街の"ショワジーのトライアングル"とビュット=オ=カイユ地区との間を伸びる通り。
  • オーギュスト=ブランキ大通り(Boulevard Auguste-Blanqui
  • オピタル大通り(Boulevard de l'Hôpital
  • グラシエール通り(Rue de la Glacière
    • 14区寄り13区西部を南北に伸びる通り。
  • ケ・ディヴリー通り(Quai d'Ivry
  • ケ・ドステルリッツ通り(Quai d'Austerlitz
  • ケ・ド・ラ・ガール通り(Quai de la Gare
  • ケ・パナール・エ・ルヴァソール通り(Quai Panhard-et-Levassor
  • ケ・フランソワ=モーリアック通り(Quai François-Mauriac
  • ケレルマン大通り(Boulevard Kellermann
  • ゴブラン大通り(Avenue des Gobelins
  • サンク=ディアモン通り(Rue des Cinq-Diamants
  • サン=マルセル大通り(Boulevard Saint-Marcel
    • 5区・13区との境界線上を走る通り。セーヌ川河岸のヴァルユベール広場界隈オステルリッツ駅前から5区境界線上を、南西左斜め下に向けイタリー広場まで走る上記オピタル大通り途中を起点にする。同起点から5区境界線上を引き継ぎ、西側に向かいゴブラン大通り交差点までを繋ぐ通り。5区から13区中心部イタリー広場方向へ南北に走るゴブラン大通りとの交差点で、ポール=ロワイヤル大通りとアラゴ大通りの二手に分岐する。同交差点からポール=ロワイヤル大通りに区境境界線が続き、アラゴ大通りから先は、14区内ダンフェール=ロシュロー広場 (カタコンブ・ド・パリ) に至る。
  • ジャンヌ=ダルク通り(Rue Jeanne-d'Arc
    • 上記サン=マルセルからオピタル、ヴァンサン=オリオール大通り等と交差しノートルダム=ド=ラ=ガール教会のあるジャンヌ=ダルク広場へ向かう通り。
  • シュヴァルレ通り(Rue du Chevaleret
  • ショワジー大通り(Avenue de Choisy
  • トルビアック通り(Rue de Tolbiac
    • 上述、通り南方の一部に面して"ショワジーのトライアングル"がある。そこでは、1981年, 82年以降、インドシナ難民のうち中国 (華僑) 系を中心としたベトナム人ら旧仏印出身者が多く居住し店を構える。13区内中央を東西に走る通り。"区中心部"イタリー広場から南側に走るイタリア大通りと"区中央部"トルビアック駅交差点で交差する。同交差点から西側に進むと、14区内を東西に走るアレジア通り等に繋がる。反対に同交差点から東側に進むと、ヌーヴ=トルビアック通りと名を変えセーヌ川をトルビアック橋で跨ぐと12区に入る。ベルシー公園、さらにフェリックス=エブエ広場(旧ドメニル広場)へ至る。
  • ナシオナル通り(Rue Nationale
  • ヴァンサン=オリオール大通り(Boulevard Vincent-Auriol
    • 区内中心部イタリー広場を経由して西側を走る上記オーギュスト=ブランキ大通りとは反対に、同広場経由して東側をセーヌ川方面へ東西に走る。ベルシー橋でセーヌ川を跨ぐと12区に入りベルシー駅前に出る。
  • ピエール=ド=クーベルタン大通り(Avenue Pierre-de-Coubertin
  • ビュット=オ=カイユ通り(Rue de la Butte-aux-Cailles
  • フランス大通り(Avenue de France
  • ボビヨ通り(Rue Bobillot
    • イタリー広場と、その南西メゾン=ブランシュ地区のランジス広場とを結ぶ通り。
  • ポール=ロワイヤル大通り(Boulevard de Port-Royal
    • 6区と14区との境界線上を東西に走るモンパルナス大通りに引き続いて、5区と13区との境界線上を東西に走る通り。
  • ポルト=ディヴリー大通り(Avenue de la Porte-d'Ivry
  • ポルト=ディタリー大通り(Avenue de la Porte-d'Italie
  • ポルト=ド=ショワジー大通り(Avenue de la Porte-de-Choisy
  • マッセナ大通り(Boulevard Masséna
  • ラ・サンテ通り(Rue de la Santé
  • ルネ・ゴシニ通り(Rue René-Goscinny
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橋梁

セーヌ川に架かる区内の橋は、次のとおりである(上流から順に列挙)。

広場・交差点

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パリの「広場 (プラス、Place)」は、しばしば2以上の道路が交差する場所に位置し、中心の「島」を道路が周回するロータリー状の交差点となっている場合が多い。中心の「島」部分は、オベリスク緑地等に利用されている場合もあり、凱旋門があるシャルル・ド・ゴール広場は世界的に有名である。13区の広場や交差点には、次のようなものがある。

  • アベ=ジョルジュ=エノック広場(Place de l'Abbé-Georges-Hénocque
  • イタリア広場(プラス・ディタリー、Place d'Italie
    • 第13区役所前にある区内中央より北側に位置する中心広場。フォンテーヌブロー方面に向かう"パリの南の玄関口"。
  • コリュシュ広場(Place Coluche
    • 13区と14区の境界に位置している。
  • ジャンヌ・ダルク広場(Place Jeanne d'Arc
  • ナシオナル広場(Place Nationale
  • パリ・コミューン広場(Place de la Commune-de-Paris
  • ピネル広場(Place Pinel
  • ランジス広場(Place de Rungis

著名な出身者

政治・軍人

芸能

著名な居住者

政治

学者

文化

ゆかりの人物

文化

芸能

13区を舞台にした作品

映画

脚注

  1. ^ フランス語の 「13e 」 = 「treizième 」 は、英語の「thirteenth 」 に相当する序数。「第13の」 「13番目の」を意味する。したがって、原語の「13e arrondissement 」を直訳すると「第13区」となる。
  2. ^ レジフランスLégifrance). “地方自治一般法典 (Code Général des Collectivités Territoriales (CGCT))” R2512-1条. 2008年6月26日閲覧.
  3. ^ セーヌ川の左岸にあたる。
  4. ^ 福井憲彦・稲葉宏爾 『世界歴史の旅 パリ 建築と都市』、山川出版社、2003年、p.178,180.
  5. ^ リバーフロント整備センター水辺の話題 報告『埋められた河川の再生に関するシンポジウム』 -川を太陽のもとに取り戻そう-」、『RIVER FRONT』 Vol.37、2000年1月、pp.31-32.
  6. ^ 丹下健三・都市・建築設計研究所. “パリ・イタリア広場 (グラン・エクラン)” 2008年9月9日閲覧.
  7. ^ Structurae. “Tour Albert” (仏語) 2008年8月2日閲覧.
  8. ^ Emporis.com - The World's Website about Buildings. “Immeuble Super-Italie” (英語) 2008年8月2日閲覧.
  9. ^ 上記イタリー大通りを差すのではなく、またパリ2区・9区境界を走る同名の"グラン・ブールヴァール"であるイタリアン大通りのことでもなく、二車線ある同オーギュスト=ブランキ大通りのうち、外縁側の一部区間をイタリー大通り (Boulevard d'Italie) と称する。
  10. ^ Ballon N° 6 : « Ballon non dénommé No 1 »

参考文献

  • MICHELIN, ed (2007) (フランス語). Plan Atlas 56 – Paris du Nord au Sud –. MICHELIN. ISBN 978-2-06-710591-1 (パリ市内の詳細地図。)

関連項目

外部リンク