HAKUTO-R ミッション2

HAKUTO-R ミッション2
ispaceのランダーローバーの模型
所属 ispace
主製造業者 ispace
運用者 ispace
国際標識番号 2025-010B
カタログ番号 62717
状態 運用中
目的 月探査
観測対象
打上げ機 ファルコン9
打上げ日時 2025年1月15日6時11分 (UTC)[1]
先代 HAKUTO-R ミッション1
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HAKUTO-R ミッション2 (ハクトアール ミッションツー、M2) は、日本の航空宇宙企業ispace2025年1月に打ち上げた月探査機。同社の月探査プログラムHAKUTO-Rの第二弾として月面車 (ローバー) による探査を行う[2]

概要

HAKUTO-R ミッション2はispaceが実施する月探査ミッション。着陸機にはミッション1同様ispace自社開発のシリーズ1が使用される。またミッション2ではispaceが開発したマイクロローバー「TENACIOUS」による月探査が行われる[3]。打ち上げは当初2020年に予定されていたが、その後数回延期され、2025年1月15日に打ち上げられた[4][2][1]

ミッション2の着陸機には高砂熱学工業が開発した水電解装置が貨物として搭載される[5]。着陸機が月面に降り立ったのち、電解装置が水を原料に水素と酸素を生成する実証実験を行う[6][7]。高砂熱学によると、M2に搭載された装置が月面での水素と酸素の生成に成功すれば、これは世界初になるという[8][9][10]。月には水が存在すると考えられており、将来それを採取して電気分解することによりロケットの燃料や、人が生活するための酸素を現地調達できることが期待されている[11]。M2で行う実証では月の水ではなく、装置と一緒に地球から運んだ水を使用する[12]。また同社は装置の開発で得たノウハウは地上製品の省エネ技術へスピンオフでき、持続可能な社会の構築に役立つとしている[12][11]

予定

以下のマイルストーンが予定されている[13]

  • 打ち上げ2,3日前 - 打ち上げ準備(Success1)
  • 打ち上げ1時間後 - 打ち上げ後の分離 (Success2)
  • 打ち上げ数時間後 - 安定した航行状態の確立 (Success3)
  • 打ち上げ1,2日後 - 初期軌道制御マヌーバ (Success4)
  • 打ち上げ1か月後 - 月フライバイ (Success5)
  • 打ち上げ3か月から3か月半後 - 月周回前の最後の深宇宙軌道制御マヌーバ (Success6)
  • 打ち上げ4か月後 - 月周回軌道投入 (Success7)
  • 打ち上げ4か月半後
    • 月周回軌道上での最後の軌道制御マヌーバ (Success8)
    • 月面着陸 (Success9)
    • 月面着陸後の安定状態の確立(Success10)

積荷

以下のペイロードを搭載する[13]

  • 高砂熱学工業株式会社の月面用水電解装置
  • 株式会社ユーグレナの自己完結型食料生産モジュール
  • 台湾・国立中央大学の深宇宙放射線プローブ
  • 株式会社バンダイナムコ研究所の「GOI宇宙世紀憲章プレート」
  • スウェーデンのアーティスト、ミカエル・ゲンバーグスウェーデン語版の「ムーンハウスプロジェクト」
  • ispace EUROPEが開発した小型月面探査車「TENACIOUS

脚注

  1. ^ a b ispace、ミッション2 マイルストーンのSuccess 2「打ち上げ及び分離」が完了!”. ispace (2025年1月15日). 2025年1月15日閲覧。
  2. ^ a b Missions”. ispace. 2023年2月26日閲覧。
  3. ^ ispace、2022年末頃の打ち上げに向け、フライトモデル組み立ての最終工程に着手 HAKUTO-Rのミッション1と2の進捗報告を実施”. ispace (2022年1月25日). 2023年2月26日閲覧。
  4. ^ ispace「HAKUTO-R」ミッション2の月着陸船は2025年1月に打ち上げへ” (2024年11月13日). 2024年11月17日閲覧。
  5. ^ 令和3年度宇宙開発利用推進研究開発(月面におけるエネルギー関連技術開発(技術課題整理))報告書”. 経済産業省 (2022年3月). 2023年2月26日閲覧。
  6. ^ 小林行雄 (2019年12月18日). “高砂熱学工業、月面での水の電気分解による水素/酸素の生成に挑戦”. マイナビニュース. 2022年12月11日閲覧。
  7. ^ 高砂熱学の水電解技術が“月面”へ、水素/酸素生成を実験”. ITmedia BUILT (2019年12月20日). 2023年2月26日閲覧。
  8. ^ TAKASAGO CORPORATE REPORT 2022”. 高砂熱学工業 (2022年11月16日). 2023年2月26日閲覧。
  9. ^ フロンティアビジネス研究会 宇宙開発の未来共創2019 パネルディスカッション2:宇宙資源ビジネスに必要なこととは?”. 三菱総合研究所 (2019年12月18日). 2023年2月26日閲覧。
  10. ^ 内田敦 (2021年3月22日). “月ビジネス トヨタが「月面走行車」開発中 40兆円市場へ大手も新興も続々参入=内田敦”. 週刊エコノミスト. 2023年2月26日閲覧。
  11. ^ a b HAKUTO-Rのispace、月面データをビジネス化する「Blueprint Moon」”. Impress Watch (2020年8月21日). 2023年2月26日閲覧。
  12. ^ a b 新・宇宙時代の到来 人類はなぜ月を目指すのか?”. Wedge (2022年3月28日). 2023年2月26日閲覧。
  13. ^ a b ispace「HAKUTO-R」ミッション2のマイルストーンを発表 2025年1月中旬にも打ち上げ”. sorae (2024年12月21日). 2024年12月21日閲覧。

関連項目

外部リンク