T2 タンカー
T2 タンカー(英語: T2 tanker)、あるいはT2とは、第二次世界大戦中にアメリカ合衆国において大量建造された戦時標準船型石油タンカーである。
概要
当時世界最大のアメリカ海軍給油艦であり、1940年から1945年にかけておよそ500隻が建造された。
平均建造期間は、竜骨の据え付けから竣工まで、70日間だった。最短建造期間の記録としては、マリンシップ造船所がT2-SE-A1型の1隻であるハンチントン・ヒルズを建造した際の、起工から海上公試まで33日というものがある。
カイザー造船によりスワン島の造船所で建造された最初のタンカーであるスケネクタディーは、粗悪な鋼材と不適切な溶接工程によって折損事故を起こした。リバティ船では同種の事故が重大事故だけで既に10件発生していたが、スケネクタディーの事故は新聞報道によって、広く知られる事となった。
各型
T2型(基本型)
基本型のT2タンカーの全長は152.9メートル、全幅21メートル。総トン数は9900トン、載貨重量トンは1万5850トン、基準排水量は2万1000トンだった。蒸気タービンによる1軸推進で、最高速度は15ノット。
メリーランド州のベスレヘム造船所スパローズ・ポイント工場にて、商用に6隻が建造されたが、アメリカの第二次世界大戦参戦に伴い、そのすべてがアメリカ海軍に買収された。
T2-A型
T2-A型は、建造初期の design variation である。全長は160メートル、排水量は2万2445トンで、総トン数は1万600トン、載貨重量トンは1万6300トンと船体が大型化しているが、速度は向上し、最高速力は16.5ノットだった。
T2-SE-A1型
T2型タンカーの中でもっとも多く建造されたバリエーションがT2-SE-A1型である。これはもうひとつの商用向けバリエーションで、1940年にサン造船社がニュージャージー州のスタンダード・オイル向けに建造したものであった。
全長は159メートル、全幅は21メートルで、総トン数は1万448トン、載貨重量トンは1万6613トンであった。ターボ・エレクトリック機関を搭載し、軸馬力は6000馬力、最大で7240馬力を発揮し、最高速力は15ノット、航続距離は2万300キロメートル(1万2600海里)に達した。参戦後、米国海事委員会は、すでに生産が拡大していた軍艦への補給のため、この型のタンカーを一括大量発注した。
アラバマ州モービルのアラバマ船渠造船社、オレゴン州ポートランドのカイザー造船所スワン島工場、カリフォルニア州サウサリートのマリンシップ社、そして、ペンシルベニア州チェスターのサン造船船渠社の各造船所で、この型の481隻の建造が驚くほど短期間に進められた。
T2-SE-A2型
T2-SE-A2型はT2-SE-A1型とほとんど同型で、A1型とA2型の違いは機関出力が7240馬力から1万馬力に向上したことのみである。T2-SE-A2型は、サウサリートのマリンシップ社でのみ建造された。
参考文献
- Lane, Frederic Chapin (2001) [1951]. Ships for Victory: A History of Shipbuilding under the U.S. Maritime Commission in World War II. Baltimore: Johns Hopkins Press. ISBN 9780801867521. OCLC 45799004
- Ship Failure Laid to Steel, Welding New York Times, March 18, 1943
関連項目
- T2 タンカーの一覧
- リバティ船
- ヴィクトリー船
- マリン・サルファ・クイーン – バミューダトライアングルで失われたT2タンカー
- アイデアル・X – T2タンカーを転用しコンテナ船の基礎を築いた。