オリオン座S星
オリオン座S星 S Orionis | ||
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星座 | オリオン座 | |
見かけの等級 (mv) | 7.2 - 14.0[1] | |
変光星型 | ミラ型[1] | |
位置 元期:J2000.0 | ||
赤経 (RA, α) | 05h 29m 00.89289s[2] | |
赤緯 (Dec, δ) | −04° 41′ 32.7667″[2] | |
視線速度 (Rv) | 22.0 km/s[2] | |
固有運動 (μ) | 赤経: 11.575 ミリ秒/年[2] 赤緯: -12.457 ミリ秒/年[2] | |
年周視差 (π) | 1.8591 ± 0.3388ミリ秒[2] (誤差18.2%) | |
距離 | 1,600 光年[注 1] (480 ± 120 パーセク[3]) | |
物理的性質 | ||
半径 | 400 - 500 R☉[4] | |
スペクトル分類 | M6.5e - M9.5e[1] | |
表面温度 | 2,627 K[5] | |
他のカタログでの名称 | ||
BD-04 1146, HD 36090, HIP 25673, IRC +00074, SAO 132163[2] | ||
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オリオン座S星(オリオンざSせい、S Orionis、S Ori)は、オリオン座の方角、およそ1,600光年の距離に位置する漸近巨星枝星である。
変光
オリオン座S星は、ミラ型に分類される脈動変光星で、明るさが7.2等から14等まで、430日程度の周期で変光する[1][4]。この周期に伴って星の大きさも変化し、視直径が7.9ミリ秒から9.7ミリ秒まで変化、これは半径にすると、400太陽半径から500太陽半径である[4]。また、変光に伴い、スペクトル型もM6.5eからM9.5eまで変化する[1]。オリオン座のミラ型星としては、増光時に肉眼等級となるオリオン座U星が代表的だが、S星はU星ほど明るくならず、極大等級はU星より2.4等暗い[1]。
オリオン座S星の変光周期は、時間とともに変化し、100年間の変光周期の変動をみると、正弦曲線的に変動しているとみられ、また、全体としてわずかずつ周期が長くなってなっている[7]。1962年から1979年にかけては、16年間で周期が445日から397日へと短くなった。この間の周期の変化率は、1日あたり0.007日で、通常のミラ型星では考えられない速いものだった。そのためオリオン座S星は、内部でヘリウム殻フラッシュが発生していると予想される[8]。
星周構造
オリオン座S星の周囲には、星から放出された物質が凝結した塵が分布している。塵の層の大きさは、星の変光周期と強い相関があり、光度極小付近で塵の生成が進み、光度極大後に塵の層は大きく膨張、塵の層の大きさは、光球半径の1.8倍から2.4倍まで変化する[4]。塵と似たような領域からは、一酸化ケイ素などのメーザーも放射されている。メーザー源となる分子の分布も、光球半径の2倍程度の広がりを持つが、こちらは全体として規則性のある運動はしていないとみられる[9]。
重星
オリオン座S星はワシントン重星カタログに二重星として登録されている[10]。南西に48秒離れた位置にある、G0型星のHD 294176が、重星のもう一方の天体だが、距離や固有運動からすると、近いのは見かけ上で、物理的な関係はないとみられる[10][11]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f Samus, N. N.; et al. (2009-01), “General Catalogue of Variable Stars”, VizieR On-line Data Catalog: B/gcvs, Bibcode: 2009yCat....102025S
- ^ a b c d e f g “S Ori -- Variable Star of Mira Cet type”. SIMBAD. CDS. 2018年6月22日閲覧。
- ^ van Belle, G. T.; Thompson, R. R.; Creech-Eakman, M. J. (2002-09), “Angular Size Measurements of Mira Variable Stars at 2.2 Microns. II”, Astronomical Journal 124 (3): 1706-1715, Bibcode: 2002AJ....124.1706V, doi:10.1086/342282
- ^ a b c d Wittkowski, M.; et al. (2007-07), “The Mira variable S Orionis: relationships between the photosphere, molecular layer, dust shell, and SiO maser shell at 4 epochs”, Astronomy & Astrophysics 470 (1): 191-210, Bibcode: 2007A&A...470..191W, doi:10.1051/0004-6361:20077168
- ^ Karovicova, I.; et al. (2013-12), “New insights into the dust formation of oxygen-rich AGB star”, Astronomy & Astrophysics 560: A75, Bibcode: 2013A&A...560A..75K, doi:10.1051/0004-6361/201322376
- ^ “Chronicle of a Death Foretold”. ESO (2007年5月31日). 2018年6月22日閲覧。
- ^ Templeton, M. R.; Mattei, J. A.; Willson, L. A. (2005-08), “Secular Evolution in Mira Variable Pulsations”, Astronomical Journal 130 (2): 776-788, Bibcode: 2005AJ....130..776T, doi:10.1086/431740
- ^ Merchán Benítez, P.; Jurado Vargas, M. (2002-04), “S Orionis: A Mira-type variable with a marked period decrease”, Astronomy & Astrophysics 386: 244-248, Bibcode: 2002A&A...386..244M, doi:10.1051/0004-6361:20020208
- ^ Boboltz,, David A.; Wittkowski, Markus (2005-01), “Joint VLBA/VLTI Observations of the Mira Variable S Orionis”, Astrophysical Journal 618 (2): 953-961, Bibcode: 2005ApJ...618..953B, doi:10.1086/426107
- ^ a b Mason, Brian D.; et al. (2018-06), “The Washington Visual Double Star Catalog”, VizieR On-line Data Catalog: B/wds, Bibcode: 2018yCat....102026M
- ^ “HD 294176 -- Star”. SIMBAD. CDS. 2018年6月27日閲覧。
関連項目
- 直径の大きい恒星の一覧
- S Ori 70
- S Ori 68
- オリオン座の恒星の一覧
外部リンク
- Pulsing Giant Star Dissected - Space.com
- VSX : Detail for S Ori - AAVSO