ドラミちゃん ミニドラSOS!!!
『ドラミちゃん ミニドラSOS!!!』(ドラミちゃん ミニドラエスオーエス)は、ドラえもんの妹ドラミの活躍を描いたアニメ映画。1989年3月11日公開。
『ドラえもん のび太の日本誕生』の同時上映作品として制作された。『ドラミちゃん』シリーズ1作目であり、またミニドラの存在が一躍有名になった作品でもある。『ドラえもん』のレギュラーキャラクターの成長した姿や、彼らの子供たちの活躍が見られることも特徴。
原作は藤子・F・不二雄。ただし、藤子・F(以下、藤本)自身が描いた漫画は存在しない。本作のシノプシスの作成前に会議が開かれ、監督の森脇真琴らアニメスタッフが様々なアイデアを出し、藤本が却下したり面白いと述べたりすることで物語の方向性が作られた。作中に登場する「海底牧場」は藤本のアイデア[1]。
この映画の主題歌として作られた『ハロー! ドラミちゃん』は、その後もドラミ映画各作品や、テレビシリーズにおいて登場時のテーマソングとして長年使用され続けることとなった。
配給収入、観客動員数、配給は『のび太の日本誕生』を参照。
物語
のび太がドラえもんに無断で未来デパートに注文した「ミニドラ」が、のび太の悪筆のせいで2011年の野比家に届けられてしまった。
ミニドラを追ってドラミが未来ののび太たちの元へやって来たが、ひょんなことからミニドラはのび太の息子ののびスケたちが手に入れていた。ミニドラと共に冒険に出かけようとするのびスケ、スネ樹、ジャイチビのわんぱく三人組。何とかミニドラを取り戻そうとするドラミ。
2011年の世界を舞台に大騒ぎが繰り広げられる。
舞台
登場人物
- ドラミ
- 声 - 横沢啓子
- 本作の主人公。ドラえもんの妹。日常は2120年代でセワシと共に生活しているが、ミニドラの一件を聞きつけ、2011年の東京へとすっ飛んできた。「ミニドラは使い方をヘタすれば、大事故にもつながりかねない」と、のびスケらに返品を呼びかけ、奔走する。
- ミニドラ
- 声 - 北川智絵
- 小学校時代ののび太が勝手に未来デパートから注文した赤いミニドラ。ドラえもんと同じでどら焼きが大好き。後に登場した際とは大きさが異なり、手の平サイズではなく、ドラえもんを一回り小さくした程度の大きさ。ひみつ道具を出させるたびにどら焼きを与える必要がある。どら焼きがなくなった後は、ほとんど活躍することはなかった。
- 野比のびスケ
- 声 - 小原乃梨子
- のび太と静香の一人息子。顔は父親ののび太そっくりで、眼鏡はかけていない。性格は父親と正反対で、非常に乱暴かつ腕白。一人称は「俺」。運動神経抜群でラグビーチームのキャプテンを務めており、下記のスネ樹、ジャイチビとはラグビーチームのチームメイト。のび太の息子は漫画ではカタカナの「ノビスケ」表記であり、テレビアニメ等でも同様だが、本作では「のびスケ」としてクレジットされている。
- 骨川スネ樹
- 声 - 肝付兼太
- スネ夫の息子。顔も要領の良い性格も父親譲り。現代ののび太が「のび太のくせに」と呼ばれるように、のびスケに「スネ樹のくせに」と呼ばれる。父親のことは「お父様」と呼び、かなりのファザコン。
- 剛田ヤサシ(ジャイチビ)
- 声 - たてかべ和也
- ジャイアンの息子。顔や体格は父親譲りだが、性格はまるで正反対で、気弱で心優しい。一人称は「僕」。友達との間における立場も父親と正反対であり、泣き虫であるためのびスケにいつもいじめられている。ミニドラと最初に出会い、一番仲良くなる。
- ゆかり
- 声 - 麻見順子
- 劇中ではのびスケ達の試合を観戦していた。のビスケに好意を持っており、のちにのびスケと結婚する[2]。
- 野比静香
- 声 - 野村道子
- 旧姓は源。のびスケの母親であり、のび太の妻。髪型はポニーテール。のびスケに手を焼いている。
- 骨川スネ夫
- 声 - 肝付兼太
- スネ樹の父親。シンガポールへ出張するなど多忙な会社社長。暮らしぶりは少年時代よりさらに裕福。容姿は髪が伸び髭を蓄えている。
- 剛田武
- 声 - たてかべ和也
- ジャイチビの父親。大型スーパーマーケット、「スーパージャイアンズ」の経営者。弱虫のジャイチビには厳しいが、父親としての愛情も持ち合わせている。のびスケに対しては息子を鍛えてくれている存在として認識し、目をかけている。容姿は殆ど変わらないがチョビ髭が生えている。
- 愛称は少年時代同様「ジャイアン」。
- 野比のび太
- 声 - 広森信吾
- のびスケの父親であり、しずかの夫。夫婦仲は良好で、のびスケからも慕われている。
- 原作と異なり眼鏡をかけており、容姿は髪型が多少変更された程度で青年時代からあまり変わっていない。少年時代の自分の失敗から今回のような事件が起こるのを予見していたらしく、それに備えてのびスケにビー玉型の通信機を渡していた。
- アナウンサー
- 声 - 田原アルノ
- スネ夫の秘書
- 声 - 小出和明
- 男の子たち
- 声 - 中沢みどり、南杏子、篠原明美、鈴木さわ子、小林延江
スタッフ
- 原作 - 藤子・F・不二雄
- 監督 - 森脇真琴
- 脚本 - もとひら了
- 作画監督 - 高倉佳彦
- レイアウト - 本多敏行
- 美術設定 - 河野次郎
- 美術監督 - 増田直子
- 撮影監督 - 熊谷正弘
- 録音監督 - 大熊昭
- 音楽 - 田中公平
- 原画 - 林静香、市川修、東海林真一、林隆文、木上益治、藤田宗克
- 動画 - 黒川祥一、岸沢和江、大森孝敏、原勝徳、中満貴裕、斉藤徳明、小原健二、田口裕美、天野順子、阿部毅彦、石井明治、菊池市松、高見沢真由美、伊藤武、細木隆浩、野口陽子、阿部恵子
- 動画チェック - 間々田益男、入江康智
- 色指定 - 酒井美晴
- 仕上 - スタジオM
- 特殊効果 - 土井通明
- 背景 - スタジオユニ
- 撮影 - 東京アニメーションフィルム
- エリ合成 - 末弘孝史、酒井幸徳
- 演出助手 - 塚田庄英
- 編集 - 岡安肇、小島俊彦、中葉由美子、村井秀明、川崎晃洋
- 効果 - 松田昭彦(フィズサウンドクリエイション)
- 整音 - 中戸川次男
- 録音スタジオ - APUスタジオ
- 録音制作 - オーディオプランニングユー
- 技術協力 - 森幹生
- タイトル - 道川昭
- 現像 - 東京現像所
- 制作進行 - 大澤正亨、斉藤敦、水島努、星野達也
- 制作デスク - 山川順一
- プロデューサー - 別紙壮一、茂木仁史、小泉美明、木村純一
- 制作協力 - 藤子プロ、旭通信社
- 制作 - シンエイ動画、小学館、テレビ朝日
主題歌
漫画
アニメ映画の公開に先駆け、『ぴょんぴょん』1989年3月号、4月号に本作の漫画版が前後編で掲載された(3月号は2月発売)。漫画の作者はたかや健二(「まんが/たかや健二」「原作/藤子・F・不二雄」名義)。
その他
- 大人ののび太、静香、スネ夫、ジャイアンが初めて映画に登場した。
- ドラえもんの登場および当時のドラえもん役声優である大山のぶ代の出演はないが、のびスケが眺めるアルバムの中にドラえもんの写真が収録されている。
- 大人ののび太は、原作漫画などにときおり登場する姿はのび助に似ているが、本作ではデザインがかなり異なり、小学生時代同様に眼鏡をかけている。この大人のび太のデザインはレギュラーアニメでも同じで、後年に至るまで長らく使用されていたが、広森信吾が吹き替えたものは多くなく、映画ではこの作品のみで、他には「雪山のプレゼント」「無人島はボクの島」「家庭科エプロン」などスペシャル版を中心としたごく限られた話で登場したのみであった。後年は小原乃梨子が少年時代の声をやや太めに演じただけとなっている。
- 本作ではのび太が少年時代に使用していた机がその後も野比家に保管され、のびスケの机として使用されていることが明かされている。静香は「パパ(のび太)の思い出の品だから」と説明しているが、タイムマシンの搭乗口として残されているという意味もあるらしく、実際ドラミはここから登場した。
- なお本作の時点でのびスケはドラミと初対面であり、その後の会話からドラえもんとも面識がないことが示唆されている。従って本編中で「のびスケがドラえもんの存在を知っている」という前提で描かれるエピソードは、時系列上本作より後のことである。
脚注
注釈
- ^ 書籍『映画ドラミちゃんミニドラSOS!!(てんとう虫コミックスアニメ版)』目次に掲載の集合写真の日付が 2011.04.05 であることより
出典
- ^ 『Neo Utopia』vol.33、91頁、森脇真琴インタビュー
- ^ 書籍「映画アニメ ドラえもん のび太のドラビアンナイト・ドラミちゃん アララ♥少年山賊団!」に掲載の記事『野比家おもしろキャラ家系図』より
参考資料
関連項目
外部リンク
- 漫 - 原作漫画、大長編漫画等の執筆者の頭の1文字または略記号。藤=藤子不二雄。F=藤子・F・不二雄。1987年の独立前のみ「藤」と記載した(ただし『ドラえもん』は連載開始時から藤本単独作)。FP=藤子プロ。それ以外は作画者を記載。括弧付きは藤本以外が執筆した外伝、短編など。詳細は大長編ドラえもん#作品一覧(併映作品は各作品のページ)を参照。