上将 (中国人民解放軍)

中国人民解放軍上将(ちゅうごくじんみんかいほうぐんじょうしょう、簡体字:中国人民解放军上将)は、中国人民解放軍階級の一つであり、最高位の階級。

概要

1955年から1965年までの旧制度では大将の下位、中将の上位の階級で[1]1988年の新制度では一級上将の下位、中将の上位の階級である[1]。しかし、1994年に一級上将が誰にも授与されることなく廃止されたため[1]、現在の人民解放軍においては上将が事実上最高位の階級となっている。

1955年2月8日に頒布された中国人民解放軍軍官服役条例[2]に基づき、同年9月27日一挙に55名の上将が誕生した[1]。その後追加された者も含め、1965年までに上将位にあった57名を特に開国上将と呼ぶ。1965年6月1日より軍の階級制度は一旦廃止されたが[1]、1988年7月1日に頒布された中国人民解放軍軍官軍銜条例[3]に基づき、同年10月1日に階級制度が復活した[1]。この際、開国上将のうちただ一人洪学智が再び上将の階級を授与された。同条例においては、中国共産党中央軍事委員会副主席、中央軍事委員会委員、人民解放軍総参謀長人民解放軍総政治部主任には上将を充て、正大軍区級の職位には上将または中将を充てることと規定されている[3]

中国人民解放軍上将の一覧

1955年から1965年まで

姓名 肖像 授予日 授与当時の職[4] 生年月日 没年月日 備考
王平 1955年9月27日 総参謀部動員部部長 1907年10月12日 1998年2月8日
王震
鉄道兵上将
1955年9月27日 副総参謀長
鉄道兵司令員兼政治委員
1908年4月11日 1993年3月12日 1988年中華人民共和国副主席
八大元老」の一人
王宏坤
海軍上将
1955年9月27日 海軍副司令員 1909年1月22日 1993年8月20日
王建安 1956年1月25日 瀋陽軍区副司令員 1908年10月12日 1980年7月25日
王新亭 1955年9月27日 済南軍区第二政治委員、代理司令員 1908年12月23日 1984年12月11日
韋国清
公安軍上将
1955年9月27日 中共広西省委書記
広西省省長
公安軍第二副司令員
1913年9月2日 1989年6月14日 チワン族
ウランフ 1955年9月27日 中華人民共和国国務院副総理
中共内蒙古自治区党委第一書記
内蒙古自治区主席
内蒙古軍区司令員兼政治委員
1906年12月23日 1988年12月8日 モンゴル族
1983年中華人民共和国副主席
鄧華 1955年9月27日 副総参謀長
瀋陽軍区司令員
1910年4月28日 1980年7月3日
葉飛 1955年9月27日 中共福建省委第一書記
福建省省長
南京軍区副司令員兼福建軍区司令員
1914年5月7日 1999年4月18日 フィリピン華僑
甘泗淇 1955年9月27日 総政治部副主任 1903年12月21日 1964年2月5日 妻の李貞少将は人民解放軍初の女性将官[5]
呂正操 1955年9月27日 総参謀部軍事交通部部長
鉄道部代部長
1904年1月4日 2009年10月13日 もと東北軍、最後の開国上将[6]
朱良才 1955年9月27日 北京軍区政治委員 1900年9月27日 1989年2月22日
劉震中国語版
空軍上将
1955年9月27日 空軍副司令員 1915年3月3日 1992年8月20日
劉亜楼
空軍上将
1955年9月27日 空軍司令員 1910年4月8日 1965年5月7日
許世友 1955年9月27日 副総参謀長
南京軍区司令員
1905年2月28日 1985年10月22日
蘇振華 1955年9月27日 海軍副政治委員兼政治部主任 1912年6月2日 1979年2月7日
李達 1955年9月27日 国防部副部長
訓練総監部副部長
1905年4月19日 1993年7月12日
李涛 1955年9月27日 総参謀部第三部部長 1905年5月7日 1970年5月26日
李天佑 1955年9月27日 前広西軍区司令員 1914年1月8日 1970年9月27日
李志民
志願軍上将
1955年9月27日 中国人民志願軍政治委員 1906年7月9日 1987年11月16日
李克農 1955年9月27日 外交部副部長
副総参謀長
1899年9月15日 1962年2月9日
李聚奎
軍需上将
1958年2月 総後方勤務部政治委員 1904年12月31日 1995年6月25日
楊勇
志願軍上将
1955年9月27日 中国人民志願軍司令員 1913年10月28日 1983年1月6日
楊至成 1955年9月27日 武装力量監察部副部長 1903年11月30日 1967年2月3日 トン族
楊成武 1955年9月27日 副総参謀長
北京軍区司令員
防空軍司令員
1914年10月27日 2004年2月14日
楊得志 1955年9月27日 済南軍区司令員 1911年1月13日 1994年10月25日
宋任窮 1955年9月27日 中共中央副秘書長
総幹部部副部長
1909年7月11日 2005年1月8日 八大元老」の一人
宋時輪 1955年9月27日 総高級歩兵学校校長 1907年9月10日 1991年9月17日
張宗遜 1955年9月27日 副総参謀長
訓練総監部副部長
1908年2月7日 1998年9月14日 子は張又侠上将
張愛萍 1955年9月27日 副総参謀長 1910年1月9日 2003年7月5日
陳士榘
工程兵上将
1955年9月27日 工程兵司令員 1909年4月14日 1995年7月22日
陳再道 1955年9月27日 武装力量監察部副部長
武漢軍区兼湖北軍区司令員
1909年1月24日 1993年4月6日
陳伯鈞 1955年9月27日 軍事学院副院長 1910年11月26日 1974年2月6日
陳明仁 1955年9月27日 陸軍第55軍軍長 1903年4月7日 1974年5月21日 もと国民革命軍将官
陳奇涵
軍法上将
1955年9月27日 最高人民法院副院長
軍事法院院長
1897年8月24日 1981年6月19日
陳錫聯
砲兵上将
1955年9月27日 砲兵司令員 1915年1月4日 1999年6月10日
周桓 1955年9月27日 瀋陽軍区政治委員 1909年2月22日 1993年10月27日
周士第 1955年9月27日 訓練総監部副部長兼軍外訓練部部長 1900年9月9日 1979年6月30日
周純全 1955年9月27日 武装力量監察部第一副部長 1905年10月6日 1985年7月28日
趙爾陸 1955年9月27日 第二機械工業部部長 1905年6月4日 1967年2月2日
洪学智 1955年9月27日 総後方勤務部副部長 1913年2月2日 2006年11月20日 1988年再び上将となる
鍾期光 1955年9月27日 軍事学院副政治委員兼政治部主任 1909年1月2日 1991年5月22日
賀炳炎 1955年9月27日 成都軍区司令員 1913年2月5日 1960年7月1日 「独臂将軍」(右腕を欠く)
開国上将最初の物故者
郭天民 1955年9月27日 訓練総監部副部長兼軍事出版部部長 1902年5月7日 1970年5月26日
唐亮 1955年9月27日 南京軍区政治委員 1910年6月13日 1986年11月20日
陶峙岳 1955年9月27日 新疆軍区副司令員
新疆生産建設兵団司令員
1892年9月18日 1988年12月26日 もと国民革命軍将官
開国上将の最年長者(授与時63歳)
蕭華 1955年9月27日 総政治部副主任
総幹部部副部長
1916年1月21日 1985年8月12日 開国上将の最年少者(授与時39歳)
蕭克 1955年9月27日 国防部副部長
訓練総監部副部長
1907年7月14日 2008年10月24日 開国上将の序列第1位
黄永勝 1955年9月27日 広州軍区司令員 1910年11月17日 1983年4月26日 1973年8月党籍剥奪
1981年「林彪・江青反革命集団」と認定
懲役18年、政治権利剥奪5年
閻紅彦 1955年9月27日 中共四川省委書記
四川省副省長
成都軍区第一副政治委員
1909年9月13日 1967年1月8日
傅鐘 1955年9月27日 総政治部副主任 1900年6月23日 1989年7月28日
傅秋涛 1955年9月27日 総参謀部隊列部部長 1907年8月3日 1981年8月25日
韓先楚 1955年9月27日 副総参謀長 1913年1月30日 1986年10月3日
董其武 1955年9月27日 陸軍第69軍軍長 1899年11月27日 1989年3月3日 もと国民革命軍将官
彭紹輝 1955年9月27日 副総参謀長
訓練総監部副部長
1906年9月6日 1978年4月25日 「独臂将軍」(左腕を欠く)
謝富治 1955年9月27日 中共雲南省委第一書記
昆明軍区司令員兼政治委員
1909年8月 1972年3月26日 死後党籍剥奪[7]
1981年「林彪・江青反革命集団」と認定
頼伝珠 1955年9月27日 総幹部部副部長 1910年4月3日 1965年12月24日

脚注

  1. ^ a b c d e f 新中国档案:中国人民解放军实行军衔制”. 中国政府网 (2009年8月21日). 2018年6月19日閲覧。
  2. ^ 中国人民解放军军官服役条例”. 中国人大网. 2018年6月19日閲覧。
  3. ^ a b 中国人民解放军军官军衔条例”. 中国政府网. 2018年6月19日閲覧。
  4. ^ 欧陽青 (2011). 大授銜:1955共和国将帥授銜档案. 北京: 長城出版社. pp. 319-321、323. ISBN 978-7-5483-0058-8 
  5. ^ “李貞:上将丈夫少将妻 開国第一位女将軍”. 千龍网. http://news.qianlong.com/28874/2007/10/09/2502@4095257.htm 2012年4月28日閲覧。 
  6. ^ 呂正操去世 為最後一位辞世的開国上将”. 騰訊网 (2009年10月13日). 2015年8月13日閲覧。
  7. ^ 馬儒 (2011年11月8日). “謝富治:死後骨灰被請出八宝山革命公墓”. 騰訊网. 2015年7月15日閲覧。

関連項目