黄河協奏曲
黄河協奏曲(こうがきょうそうきょく、中:黄河鋼琴協奏曲)は、冼星海が1939年に作曲した管弦楽と合唱のためのカンタータ「黄河大合唱」をもとに、1969年に中国中央交響楽団が集団創作したピアノ協奏曲。カンタータから協奏曲へと編曲・再構成するにあたって、殷承宗ら(その他、儲望華・盛礼洪・劉庄など)が中心となり、「黄河大合唱」から4曲を抜粋した。この時に概ね3/5程度の演奏時間に短縮されたが、基本的には第4楽章の「川辺対口曲」以外の主題は全てピアノ協奏曲に継承されている。中国中央交響楽団により1970年初演。
概要
文化大革命の時期に、半ば政治主導で西洋楽器のために創られた愛国的・民族的な音楽の一つであり、ヴァイオリン協奏曲《梁祝小提琴協奏曲》と並んで、中国版社会主義リアリズム音楽の実例となっている。
原曲となった黄河大合唱の曲順は次の通りである。作詞は光未然。
- 前奏:黄河船夫曲
- 黄河頌
- 黄水謡
- 川辺対口曲
- 黄河怨
- 保衛黄河
- 怒吼吧 黄河
楽曲構成
「黄河協奏曲」の楽章構成は次の通りである(カッコ内は中国語の原語)。
- 前奏曲「黄河の船頭の歌」(黄河船夫曲) Allegro molto agitato
- 黄河をたたえる (黄河頌) Adagio maestoso
- 怒れる黄河(黄河憤) Andantino grazioso
- 黄河を護れ (保衛黄河) Allegro
楽器編成
独奏ピアノ、ピッコロ(2番フルート持ち替え)、笛子(2番フルート持ち替え)、フルート2、オーボエ2、クラリネット(変ロ調)2、ファゴット2、ホルン(ヘ調)4、トランペット(変ロ調)2、トロンボーン3、ティンパニ、トライアングル、シンバル、ハープ、弦五部
録音
アメリカ合衆国ではユージン・オーマンディの指揮によって上演・録音が行われた。林克昌指揮・群馬交響楽団演奏によるCDが販売されている(日本コロムビア製作、香港レコード社頒布。1980年12月及び1981年1月録音)。