飼育 (小説)
飼育 | |
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訳題 | Prize Stock |
作者 | 大江健三郎 |
国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
ジャンル | 短編小説 |
発表形態 | 雑誌掲載 |
初出情報 | |
初出 | 『文學界』1958年1月号 |
刊本情報 | |
収録 | 『死者の奢り』 |
出版元 | 文藝春秋新社 |
出版年月日 | 1958年3月 |
受賞 | |
第39回芥川龍之介賞 | |
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『飼育』(しいく)は、大江健三郎の短編小説。1958年に文芸誌『文學界』1月号に掲載、同年に第39回芥川賞を受賞。その後『死者の奢り』の所収で1958年3月に文藝春秋新社にて単行本化、1959年9月に新潮社文庫『死者の奢り・飼育』に収録された[1][2]。
本作はジョン・ネイスンによって“Prize Stock”のタイトルで翻訳されて、ネイスンが編纂した大江の中短編のアンソロジー“Teach Us to Outgrow Our Madness”に収録されている。
あらすじ
戦時中にアメリカの飛行機が撃墜され、森の奥の谷間の村に黒人兵が落下傘で降りてくる。捕らえた黒人兵をどう処置するのか、県の指令がくるまでの間、語り手の少年・僕の家の地下倉で黒人兵を「飼育」することになる。最初は「獲物」であった黒人兵と僕の関係は日毎に人間的な触れ合いになっていく。ある日、県の指令で黒人兵の移送が決まると、黒人兵は僕を捕らえて盾にして抵抗するが、父や村人が詰め寄り、父は鉈をふるって僕の手ごと黒人兵の頭を切りつけて殺害する。怪我で包帯をまいた僕の手を指して友達は言う。「お前のぐしゃぐしゃになった掌 、ひどく臭うなあ 」。僕は答える。「あれは僕の臭いじゃない 」 「黒んぼの臭いだ 」。そう答えた僕は、天啓のように自分はもう子供でないことを悟る。
映画
- 1961年に大島渚監督により映画化。『飼育』に参照。
- 2011年にカンボジアを代表する監督リティ・パニュが1972年の同国を舞台に翻案化[3]、第24回東京国際映画祭の「アジアの風・中東パノラマ」最優秀アジア映画賞候補にて出品した[4]。
テレビドラマ
脚注
- ^ 新潮社ホームページ「死者の奢り・飼育」
- ^ 芥川賞受賞の群像(大江健三郎)
- ^ 映画.com(2011年10月29日)
- ^ 第24回東京国際映画祭(飼育)
- ^ a b c 「日本ビイキの黒人スター」『芸能画報』3月号、サン出版社、1961年。